中国へ行きたい!

正月三が日はいかがお過ごしだったでしょうか?

 

私は腰痛のためウォーキングが思うように出来ず、

もっぱらチャリで移動しました。

 

三日通い詰めたのは、静岡駅前の本屋「戸田書店」の二階。

静かな環境で本が選べるここは、私の大のお気に入りの場所。

そこで「中国歴史建築案内」TOTO出版を見つけました。

 

実は昨年、静岡市役所本館を見学した後、急に建築の本が読みたくなり、

玉井哲雄著「日本建築は特異なのか」「建築の歴史」

村松伸著「中華中毒」「書斎の宇宙」

など以前買いそのままになっている本を取り出した。

 

特に興味を引いたのが建築史家「村松伸」氏の

「中華中毒」ちくま学芸文庫)。

 

中国オタクの村松氏は中国本土をはじめ、台湾、韓国、ベトナム

それから日本の各地を駆け巡る。

その滞在記を含めて、中華思想が東アジアを覆い尽くすありさまを

各国の歴史建築から紐解いた東洋の古建築の膨大な資料。

その面白さは昨年読んだ本の中で群を抜いていた。

 

そして今年、その本に感化された私が出会ったのが

「中国歴史建築案内」TOTO出版)。

 

 

 

中国の建築史家「楼慶西」氏が執筆し、中国でベストセラーになった本を

日本の建築史家「高村雅彦」氏が分かりやすく翻訳した中国建築の本。

 

紫禁城、天壇から寺院、民居に至るまで、また風水、装飾、色彩も章に含めて、

写真、図面、案内マップ満載の中国建築からみた、大国中国の姿を現しています。

 

 今年はこの本をじっくり読んで、
隣国でありながらなじみの少ない中国の歴史を学ぼう。
そしていつかは中国本土へ行き、紫禁城を見てこよう。

 
なんて、未来に初夢を託して、腰の痛みを克服しようと思う三が日でした。

わたしがサプライズした・今年の映画ベスト3

映画好きの私が今年みた映画は15本。

昨年と同数で目標の20本に届かず残念。

観たかった「キャロル」や「怒り」などを見逃した。

黒衣の刺客」  ホウ・シャオシェン監督(中国映画)

「恋人たち」  橋口 亮輔監督(日本映画)

「ハッピーアワー」  濱口 竜介監督 (日本映画)

「あの日エッフェル塔の下で」  アルノー・デプレシャン監督(フランス映画)

「レヴェナント 蘇えりし者」  アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督 (アメリカ映画)

「山河ノスタルジア」  ジャ・ジャンクー監督(中国映画)

「団地」   阪本 順治監督(日本映画)

シン・ゴジラ」  庵野秀明 監督(日本映画)

「ブルックリン」  ジョン・クローリー監督(イギリス映画)

「フェイク」  森達也監督(日本映画)

「オーバーフェンス」  山下敦弘監督(日本映画)

ハドソン川の奇跡」   クリント・イーストウッド監督(アメリカ映画)

「淵に立つ」  深田 晃司監督(日本映画)

この世界の片隅に」   片渕須直監督(日本映画)

ジュリエッタ」  ペドロ・アルモドバル監督(スペイン映画)

 

以上、暇とお金を天秤に厳選してみた15本。

なんと、日本映画が半分以上。

外国映画に魅力がないのではなく、日本映画が例年になく多彩だった。

そのうちの特に好きだった3本。 (鑑賞日順)

 

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日本映画  「ハッピーアワー」

濱口 竜介監督

一皮むけば見方を変えれば、6時間近くでも、もっともっと見ていたくなるほど

日常がスリリングであることを証明出来た稀有の映画。

出演者も監督も出すぎず、ありのままに見えるところがいい。

 

アメリカ映画 「ハドソン川の奇跡」 

クリント・イーストウッド監督

ほどんどの彼の映画を見ているけれど、今まで立派すぎて好きでなかった。

この、臆病な機長像と端正なストーリーテリングが何とも魅力的で

心の底から拍手したくなった映画。

 


日本映画  「淵に立つ」 

深田 晃司監督

登場人物それぞれの絶望感が神経を逆なでするように

常に緊張感をもって観ずにはいられなかったホラー映画。

判断が分かれるラストは救いがあることを祈らずにいられない。


来年の一番の楽しみは 亡き台湾の名匠エドワード・ヤン監督が

1991年に発表した、 傑作『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』が

デジタル・リマスターされ、 25年ぶりに日本で再公開されること。

静岡でも観ることが出来ればうれしい。

東西の宗教観が混在したようなホラー/日本映画「淵に立つ」

日本映画「淵に立つ」(深田晃司監督)

凄い映画だった。

そして、何よりも怖かった。

 

日曜日のシネギャラリーの夜の部は私が1番の番号札。

30分ほどロビーにいたけれど、誰も来ない。

このまま、一人でこの映画を見ると思うとぞっとした。

そのうち男性3人が入場して来たので、安心したけれど・・・。

 

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地方都市で小さな金属加工工場を営みながら

平穏な暮らしを送っていた夫婦とその娘の前に、

夫の昔の知人である前科者の男が現われる。

奇妙な共同生活を送りはじめる彼らだったが、

やがて男は残酷な爪痕を残して姿を消す。

8年後、夫婦は皮肉な巡り合わせから男の消息をつかむ。

しかし、そのことによって夫婦が互いに心の奥底に抱えてきた

秘密があぶり出されていく。

 

 輪廻は巡り孫子の代までも、みたいな仏教的世界。

罪と罰、人間の原罪を描いたキリスト教世界。

 そのどちらからものアプローチが混在して、

お気楽日本映画とは程遠く、監督、俳優を含めた、

真剣勝負を、襟を正してみるような映画。

 

身から出た錆とも言える不幸に撫でられているような主人公たち。

イラつき困惑し疲れ果ててしまう役どころの俳優たちの演技が凄い。

 

ひと気の少ない沈んだような地方都市の描写と

人間に覆いかぶさるような自然に囲まれた田舎の雰囲気も見事。

 死へ追い込もうとする悪霊から必死で逃れようともがく

ラストの主人公たちの姿が感動的だ。

 

第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門・審査員賞受賞

静岡シネギャラリーで11月25日まで

New!ビスケットキングへ 行ってきました。

嘗て、我が町番町地区(研屋町)にあった静岡一美味しい

ケーキ屋さんと評判の、知る人ぞ知る「ビスケットキング」。

2011年に店を閉じた後、半年後藤枝でオープンの予定、と聞いた。

しかしず〜と店は始まらず、最近までオーナーの動向も分からなかった。

 

それが2ヶ月程前、閉じた店の近くの家具屋の息子さんが、

「ビスケットキングいよいよ藤枝で店を開けるそうだよ。」

そんな噂を聞いてからしばらしくて、私のブログにコメントがあった。

 

「ビスケットキングが藤枝田沼にオープンしましたよ。」

藤枝の<名も無い通りすがりさん>紹介の静岡新聞の記事にも

日本料理家が独自のサンドイッチを出す店として紹介してあった。

 

(Kittsan流) また会う日まで! 我が街の「ビスケットキング」

http://kittsan.eshizuoka.jp/e783186.html

(こだわりサンド発売 藤枝の日本料理研究家が考案)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161105-00000021-at_s-l22

 

 

そこで、私は早速藤枝へ行ったついでに寄ってみました。

煉瓦の壁と木戸に覆われ中が見えない以前の店と打って変わって、

全面ガラス張り、すぐケーキ屋さんと分かる店構え。

 


こざっぱりした白衣とキャップで忙しく店内を切り盛りしている女性に

ショーケースにあるケーキをオーダーした。

そして「北村さん(オーナー)はいますか?」と尋ねた。

女性はキョトンとした顔をして、

「私ですけれど・・・。」

「えぇっ?、随分若くなっちゃって、分からなかった。」

「あの頃は生活苦で、ひどい顔してたんですよ・ ・ ・。」

笑って答えてくれた後は、色々思い出話に花が咲きました。

 

 

さて、買ってきたケーキはモンブラン、レモンタルト、クラシックショコラ、

それにシュークリームとアップルパイ。

 

モンブランを一口食べてすぐ分かった。

紛れもなくあの、ビスケットキングの味。

締めるところは締め、まろやかな所はあくまでもスウィートに。

硬めの台の上に、とろける程のマロン入りのクリームの糸。

見た目はトッピングも少なく、無愛想な位の姿だけれど、

レモンを隠し味にして、舌に残らない甘みは

まさに大人の為のケーキの再会でした。

 

藤枝のビスケットキングでは、友人の西堀さんの作るサンドイッチも

欲しかったけれど、それは売り切れ。

「静岡のお客さんがよく来てくれるんですよ。」

10月27日にオープンしたばかりでまだ藤枝では馴染みが少ないようだけれど、

その内行列が出来る様になるのでは、

と、ちょっと心配な新しいビスケットキングでした。

 

Biscuit King (ビスケットキング)

藤枝市田沼1-26-26 B アイランド 1FB

TEL 045-637-2010

10時~19時 月曜定休

ピアノコンサートで三つの有りえないハプニング

久し振りに妻とピアノのデュオリサイタルに行った。

会場は50人ぐらいのホールで、ピアノを囲むアットホームな雰囲気。

曲目はドビュッシーからストラビンスキーまで、

近代から現代への私のお気に入りの曲が揃っていた。

 

開演時間になって演奏者が入場すると同時に

ポポポポポ、ピピピピピッと、何処からか電子音が・・・。

「携帯の電源はお切り下さい。」のアナウンスがあったが鳴り止まない。

誰だろう?と思っている内に、はっと妻が私のバックを開けた。

あらら、そこで私のiPadが鳴っているではありませんか。

どうも誰かがFaceTimeで呼んだような形跡があった。

携帯も切ったのに、iPadから音が漏れたのは初めて。

不覚でした、ゴメンナイサイ。

 

 前半最後の曲は私の大好きなラベル。

彼のえも言われない美しいピアノ曲マ・メール・ロア」が終わりに近づいた頃、

斜め前方のご婦人が突然倒れかかる。

とっさに隣と後ろの男性が、椅子ごと抱えて場外へ連れて行った。

ざわざわしたけれど演奏はそのまま続けらて、私も曲が終わった後すぐ場外へ。

「大丈夫ですか?」

場合によっては心臓マッサージを必要になると思ったけれど、

幸い御婦人は意識を取り戻していて、ホッとした。

 

 さて、一服して後半は大曲ストラビンスキーの「春の祭典」。

ピアノ連弾の為、2人のピアニストの指が交差し、何とも忙しい。

加えて楽譜めくりの担当者もいて、ピアニストが頷くとパッとページをめくっていく。

そのタイミングのいいこと。

不協和音に溢れ、演奏も終盤に差し掛かった時、演奏が突然止まった。

なんと、楽譜が倒れてどのページか解らなくなってしまったのだ。

ページを戻し、奏者が 「ここから。」と示して再びピアノが鳴り出した。

それから演奏は最後に向かって興奮のるつぼ化し、

演奏者も観客も一体となり、このハチャメチャ難曲の「春の祭典」にどっぷり浸っていった。

 

 慌ただしくも二度と味わうことが無いだろう三つのハプニング。

いやいや演奏がどうのこうのと言う以上に

珍しい出来事で十分楽しませて頂いたコンサートでした。

萩と秋明菊と彼岸花

9月に入ってから不順な天気が続いています。

 

だいぶ前、私が顔に帯状疱疹が出来て入院したのもこの頃、

今年は妻が初旬から熱が出たり引っ込んだりするので、

病院に行ったら軽い肺炎だったりして。

 

 

そんなこんなで、連休は家事に追いまくられています。

三度三度の食事の支度、洗濯機を回して物干しに行き、

ついでに金魚の水を替えたり、台所をかたづけ、風呂の掃除をしたり・・・。

 

朝のウォーキングとストレッチも忘れがちで、

腰の痛みも少しも衰えず・・・。

ノートが斜めに置いてあるだけで気になる几帳面な私が、

時々どうでもよくなれ、とふてくされ気味な毎日。

 

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それでも、ごみ収集所に咲く白い彼岸花

今年もつぼみが膨らんできました。

また、家の玄関の猫額の庭には、秋明菊の花が一輪。

そして、ご近所の庭園の垣根から溢れ出る枝の、

満開の萩の花が風に揺られて、こぼれ落ちている風景。

秋には秋の、可憐ではかない日本の花があちこちに咲いています。

 

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蒸し暑かったり涼しかったり、重陽の9月は何とも曖昧な季節。

夏掛け一つでは寒くなってきた今日この頃。

忙しさに紛れて、キチンと生活を立てていないと、

私にもウイルスが忍び寄って来そうで、ご用心ご用心。

世の中はまずは自分の為にあり/映画「ブルックリン」

帰りたいほどに安らかな故郷

捨てたいほどに煩わしい故郷

 

異民族の中で習慣の違う人との

愛があっても貧しく不安定な人生に未来を託すか?

暮らしを共にし心置ない仲間たちの中での

愛する人と平凡であろうこれからに満足するか?

 

ふたつの国(アイルランドアメリカブルックリン)

ふたりの男性(ジムとトニー)の間で揺れながらも、

前を向いて生きていく、等身大のヒロインの物語。

 

 

美しい映像と魅力的な風俗と丁寧な人物描写ではあるけれど、

テレビドラマレベルの都合のいいストーリー展開に物足りなさも。

 

それにしても、故郷を捨て親を捨て、恋人までも二股かけて、

他人の非難にもめげず、自分で選び人生を切り開いていく主人公の爽快さ。

オシャレなラストシーンも自分勝手なヒロインの姿そのままなんだけれど、

自立した女性なら彼女の生き方に大いに共感できるでしょう。

 

若い時、まずは自分の幸せを求めのは男の私でも解るなぁ。

若い女性で溢れていたこの映画「ブルックリン」の上映会でした。