お正月こそ面倒臭いことを。

明けましておめでとうございます。

今年も我が家の正月祝い膳が並びました。
妻が他人のものは気に入らない、いや、
料理が得意なので、ほとんどが手作りです。

 

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最近ではいろいろなものが入るようになったおせち料理ですが
1番大切にしているのは「祝肴三種」です。
つまり、「黒豆・田作・数の子」はわざわざ別椀に盛るのです。
ちなみに私の好きなおせちの具best3は「田作・昆布巻き・伊達巻」です。

 

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お雑煮は静岡のならではの関東風。
もちは切り餅、味はしょう油味です。
「里芋、京菜、椎茸、大根、餅」の奇数の五種で決まり。

 

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お屠蘇は先代から使っていた屠蘇器で
三つ重ねの盃に、年長者が最年少者から順番に注いでいきます。
長寿をおすそ分けする意味があるそうです。

 

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戸主の私が新年の挨拶をし、家族で今年ので抱負を述べます。
続いて妻と私が謡曲「鶴亀」の1部を謡います。
 ♪庭の砂金は金銀の・・・。♪
お屠蘇をいただいて、正月の宴の始まりです。

 

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一年に一度、黒漆の座卓を囲んで、朱漆の椀に料理を盛って、
屠蘇、おせち、雑煮の順に味わってまいります。
面倒ながらも、何年もの間元旦の決まり事となっています。

どうぞ、今年もよろしくお願いします。

今年(2017年)観た映画・・・少な~い

今年は秋以来気分が優れず、
好きな映画を観る気がしなかった。
見落とした話題作が多く残念。

 アメリカ映画「スノーデン」(オリバー・ストーン監督)
アメリカ映画「沈黙-サイレンス」(_マーティンス・コセッジ監督)
日本映画「彼らが本気で編むときは、」(荻上直子監督)
アメリカ映画「ラ・ラ・ランド」 (デミアン・チャゼル監督)
台湾映画「クーリンチェ少年殺人事件」(エドワード・ヤン監督)
アメリカ映画「ムーンライト」(バリー・ジェンキンス監督)
イギリス映画「私はダニエル・グレイグ」(ケン・ローチ監督)
アメリカ映画「メッセージ」(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)
日本映画「彼女の人生は間違いじゃない」(廣木隆一監督)
日本映画「夜空は最高密度の青色だ」(石井裕也監督)

 改めて思うのは、
若者が主人公の映画が良かったこと。

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「彼らが本気で編むときは」
彼女の人生は間違いじゃない
「夜空は最高密度の青色だ」

この3本の日本映画は
同調圧力が充満するストレスフルな社会の中で、
今に生きる若者の不安と自信を
誇張なくポジティブに描いていて気持ちが良い。

日本映画は今、俳優も監督も見事に世代替わりして
多様なスタイルの映画が花開いているのではないか。

外国映画ではアジアの映画が少なく、
特に世界で評価の高いフィリピン映画
静岡では一本も公開されないのにはがっかりした。

 来年も良い映画に巡り会えますように。

タイトルがカッコいい/日本映画「彼女の人生は間違いじゃない」&「夜空は最高密度の青色だ」

最近、タイトルに惹かれて観た、若者を描いた日本映画2本。

 

彼女の人生は間違いじゃない」 廣木隆一監督

「夜空は最高密度の青色だ」 石井裕也監督

 

ともに最近の日本映画の傑作だと思う。

 

日本映画 「彼女の人生は間違いじゃない

 まず 、タイトルがいい。

主役の女優さん(瀧内久美)が自然体で、もの凄くいい。

 

東日本大震災から5年。

普段は市役所で働き、週末は高速バスで上京し、風俗嬢として働く。

被災地福島と東京を行き来する女性の日常とその思いを描いた力作。

津波で家が流されても、家族が亡くなっても、

昨日の次に今日があり今日の次には明日が来る。

 

この世界の片隅に」のすずさんの描き方より現代的に思えるのは 、

自分の生き方に死ぬ程葛藤している人間がそこにいるから。

だから、「彼女の人生は間違いじゃない 」と納得。

 

(静岡シネギャラリーで鑑賞。)

 

日本映画「夜空は最高密度の青色だ」

 

いや〜、おもしろい映画だった。

 何よりも、主人公たちがみせる次の行動に

 

    どんな事を言うのだろう?

 どんな表情を見せるのだろう?

 どんな行動に移るのだろう?

 

と言うことが予想がつかないどころか、

その事がもの凄く新鮮に感じた映画だった。

 

そう感じたのは、出処が

「夜空は最高密度の空色だ」と言う詩集だった事や、

石橋静香、池松壮亮の演技を感じさせない

生の若者そのものの姿によるのだろう。

 

イラつき疲れて煙草ばかり吸っている二人。

汗と埃と泥にまみれた工事現場の日雇い労働の男達。

酒と騒音とケバいヒカリに晒されたガールズバーのおんなたち。

 

私達の常識的な情報に包まれた今の時代を、

東京と言う寝れない都会の表面をすぱっと切って

中身を晒して見せてくれた映画。

 

(東京出張中、キネカ大森にて鑑賞)

鬱になった。

やる事が重なって、それがうまく進まなくて、

問題が次々に起きて、期限がどんどん迫ってきて。

 

食欲が無くなって、体重が段々減ってきて、

起きているのが大変で、横になってばかりいて。

 

人に会ったり、電話するのが億劫で、

mailやfacebook、新聞も本も映画も見る気がしなくて。

 

6~7月は経験した事がない鬱状態だったかも・・・。

 

・・・そ んな胸の重りがいつの間にかスーッと消えたのが8月のいつか。

 

早朝ウオーキングを再開して、朝食を作るようになり、

新聞を読んで、メールを見て、facebookに投稿し、

お腹一杯食べる様になり、体重が増えてきて、

ようやく仕事の方も計画的にこなせる様になりました。

 

 

 

そして、明日のビジネスを考えるセミナーにも参加する程前向きに。

 

・・・と言うわけで、同夜同所 (8/24・b-Nest) で開催された

「EC最新技術活用入門」講座と

ドラッガー研究会」とをハシゴしてきました。

 

どちらでも初対面の人と会話する機会があって、

久し振りに新鮮な空気を吸いました。

 

ノイローゼは治ったのでしょうね。

肺に影がある?

1月に脊椎間狭窄症の手術をして約2週間後、

無事退院してさらに数日後、

年に一度の会社の健康診断がありました。

 

血液検査、心電図、胸部X線検査、血圧他

ひと通りの検査を受けた後、しばらくして結果が来ました。

 

「胸部X線検査で異常陰影が見られます。

3ヶ月後に再検査をお受けください。」

 

エエッ! 肺に影がある?

腰の手術で入院したばかりなのに、

また、肺に何かの病気があるなんて・・・。

 

この歳になるといい事は考えません。

二人に一人はなるという、あの成人病が私にも来たか!

 

 

若干の不安を抱えながら、3ヶ月経った先日再検査に行って来ました。

同じ様に胸部X線検査をした後、担当の医師の説明がありました。

 

「健診の時、肺の両下肺葉に湿潤影がありました。

普通こう言う所に余り影は出ないのですが、何かあったんでしょうか?」

 

そう言えば・・・。

背骨を安定させるため、手術後3ヶ月間は腰から胸に掛けて

コルセットを締めていなければならない状態にあった。

健診の時は付けていたコルセットを一時的に外して診察を受けた。

 

そうですか・・・。

何かで肺をギュッと締め付け圧迫すると無気肺状態になる。

一時的に肺のカタチが狭くなってしまうんですね。

コルセットを外しても直後は戻らないから。

・・・病名は「板状無気肺」とあった。

 

なるほど・・・。

3ヶ月経った今はコルセットはしていないから

湿潤影はありません、になるのか。

 

と言うわけで、ひとまずは安心の再検査でした。

病気いろいろ 人生さまざま

2週間の病院生活で、同室となった何人かの方々。

カーテン越しに話が聞こえてきたり、親しくお話させて頂いたり。

ほんとうに、病気いろいろ人生をさまざま、でした。

 

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タクシー運転手の30代のAさん、お年寄りの車に2回も追突され、

首のヘルニアで手術のため入院。

入院費は相手の保険で出るようですが、

加害者は一度もお詫びも見舞いも無いそうです。

 

そのA君、新しく入院した男性が病室で看護師や事務員と

手続きの話を大きな声で長時間話していたのに激怒。

「そういう打ち合わせはロビーでやってくれ。

こっちは傷が痛くて余計イライラさせられる。」

カーテン越しに聞いていた私はドキッとしたのですが、

手術前の人と手術後の人のストレスの違いが歴然としていました。

 

 本を読んでいると隣から何やら異様な匂いがしてきました。

看護師さんが寝たままのBさんの姿を見て、

「Bさん、パジャマが濡れちゃってる。

あらあら、全部でちゃったねぇ。」

「便が出そうだったけれど、看護婦さんがあんまり忙しそうだったので、

ナースコールを押すの悪いと思っちゃったんだよ。」

数人でシーツから何から総入れ替え、窓も開けて消臭剤をふり撒いていました。

 

 ある資料によると、多くの少年たちの普段使用している言葉の

ベスト3は「ヤバイ」「キモイ」「ウザイ」だそうです。

サッカーのゴールキーパーで手の平を骨折した高校生のC君。

ベッドでレポートを書いて熱心に勉強して居たのですが、

手術後は傷が相当痛かったのでしょう。

「ああ、やばいやばい。」

「どこの指が痛いの?」

「親指がヤバイ。」

 

 私と同じ脊椎間狭窄症の手術で同室した愛想のいいDさん。

私と同年代の方で、奥さんと息子さん娘さんが毎日来ます。

冗談言ったり笑ったり、とても楽しそうな雰囲気。

奥さんによると、そのうちお爺さんも見舞いに来たいと言っているとか。

仲良し家族の家庭内風景が目に見えるようでした。

 

 私の退院の前日に入院されたEさん。

看護婦さんが、体温計と血圧計を持ち出し

「Eさん、体温と血圧を測りますのでお願いします。」と言うと、

「もう測ったよ。」と自分で持って来た体温計と血圧計で測った数字を

見せているようです。

看護婦さんはちょっと困った様子でしたが、更に

「普段飲んでいる常備薬も入院中は病院で管理させて頂きますので

出してください。」と言うと、

「俺は全部自分で飲み方が分かっているから自分でやるよ。」

自己管理の行き届いた御老人のようですが、

看護師さんは戸惑いながらも、説得に勤めて居ました。

 

 短い間でしたが、色々な方と歓談させて頂き、

痛くもあったけれど、有意義な興味ある入院生活でした。

1950年代の静高生を描いた小説/三木卓著「柴笛と地図」

今迄、あまり知らなかった作家「三木卓

全く聞いたことがなかった小説「柴笛と地図」(集英社文庫

 

この物語が1951年から54年まで、静岡高校で過ごした主人公の

少年の思春期を描いた、氏の自伝的小説だったとは・・・。

 

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当時静高(旧制静岡中学)は静岡大空襲で焼かれ、

駿府城趾にあった静岡三十四連隊の兵舎を使って授業が行われ、

そのため「城内高校」と呼ばれていた。

今の長谷町に戻り、再建されたのは1953年、

その秋、校名も静岡高校となったそうだ。

 

この本を読むと、当時の静高生がこんなにも大人びていたのか

と、只々驚く行動ぶりが展開される。

 

社会科学研究部に入り、共産党の党員になるコースが十代からあり、

マルクスエンゲルスの「空想から科学へ」を議論する。

西洋音楽(クラシック)に於ける造詣はプロ並み。

野村胡堂(あらえびす)の音楽評論が出て来るは

ヌブーやカペー弦楽四重奏団などの演奏批評の数々。

文学は勿論、太宰治から小林多喜二中野重治と、

デカダンスから共産主義の作家まで、びっくりするほどの読書量。

 

そして、今は懐かしい静岡市の場所や店の名前。

開かずの踏み切り「八幡の踏切」、クラシックを取り寄せるなら「すみや」

どこへ行くのも自転車で、そこは今の静岡の高校生となんら変わらない。

勿論、静岡弁「・・・だか」「・・・だけん」「・・・じゃん」も随所に出て来る。

 

そんな静岡の風景が網羅され、あの時代の空気が小説のあちこちに漂う。

 

しかし、一番驚くのは、人間関係の密なことと、自分で考えようとする

バイタリティにあふれた高校生ばかりだということ。

引揚者、片親、貧困、病気が日常茶飯事の1950年代に、

自分の力で生きていかなければ、誰も助けてくれない事を

背伸びしながらも自覚し、行動している十代であること。

 

まさに時代が過酷にも彼らに試練を与える事で、

彼らがモラトリアムで居られない状況に放り出されている。

気の毒のような、でもうらやましいような充実した人生を垣間見ることができる。

 

この小説を知ったのは、2014年3月22日の日経夕刊の文化欄を読んだ時。

そんな小説があったのかと、早々に文庫本を買った。

500ページもある長編だったので、なかなか読む機会がなかった。

それが時間が余った今、4日で読んでしまった。

 

私が母校静岡高校を卒業して、今年で50年になる。

記念の同窓会が開かれるが、ぜひこの小説の話をしてみたいと思っている。