口坂本温泉から蕎麦「つど野」へ

名前は知っているけれど、行った事のない
安倍奥の温泉「口坂本温泉」。
なんでも掛け流しの湯がヌルヌルしていると
聞いて、出かけて行った。

静岡から約1時間、もうちょっと走れば井川湖に着くほど遠い。
9:30にオープンしたばかりなのに、もう3人入浴中だった。
内湯と露天があるが、内湯の方が暖かくヌルヌル感も強い。
風呂も休憩所も広くゆったりしていて、これで300円は安い。
当面、奈良田温泉へ行かなくて良いかな。

さて、帰り道は、松野にある評判の蕎麦「つど野」へ。
こちらも駐車場に車がいっぱい。
ここは、せいろしかなく、それに昼過ぎには
無くなってしまうとか。
 
例のごとく、「こなや」5と比較して、蕎麦6、つゆも6。
一言、上品で丁寧な、極上の蕎麦屋さんですね。
値段が880円(税込)だから、滅多に来れないけれど、
蕎麦好きのお客さんが来たら連れて行きたい。

三保海岸にて「三島由紀夫トークショー」を聞いた。

50年前の今日(11/25)、作家三島由紀夫が市ヶ谷の自衛隊駐屯地で

クーデターを促す演説をしたのち、割腹自殺を遂げました。

 

当時私は大学生で東京にいるはずでしたが、

学生運動により休校が続いており静岡の自宅にいたと思います。

テレビのニュースを聞いて大変ショックを受けました。

また、妹は高校の先生が教室に飛び込んできて、

「今三島由紀夫がアジをやってその後割腹した。」と叫んだそうです。

 

その三島由紀夫が逝って50年の今年、三保海岸の施設「みほしるべ」において

三島由紀夫天人五衰展」が催されています。(11/29まで)

三保や清水近辺は三島氏の遺作「豊饒の海4部作」の最後「天人五衰」の

舞台となっているそうで、その縁もあって清水の美術評論家本阿弥清氏の

三島由紀夫関連コレクションが展示されています。

 

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またその関連企画として
三島由紀夫関連トークショー」が11月22日に行われました。

それ以前に展示会を見に行った私は、知り合いの「みほしるべ」の係員から

トークショーの話を聞き、すごい人達の話が聞けますよ、と勧められました。

当日の主催者のトークによると、わずか15分で定員に達してしまったそうで、

申込日の開始時間に予約の電話をした私は幸いにも受け付けてもらえました。

 

私自身は事件後、それほど三島由紀夫氏の事は興味はありませんでしたが、

最近氏の作品「文章読本」を読んで、あまりの博識と美しい文章に惹かれ、

すっかり魅せられてしまったこともあり、

とてもいいチャンスに恵まれたと思いました。

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4人の専門家が二人づつ前半と後半のテーマを語る3時間の講演です。

 

三保の松原豊饒の海

 安藤礼二氏 文芸評論家、多摩美術大学教授、

       著書に「光の曼荼羅ー日本文学論」「折口信夫」 

 小二田誠二氏 静岡大学教授(日本言語文化)、

       静岡の歴史・文化・産業についての仕事多数。

 

三島由紀夫の世界観」

 井上隆史氏 白百合女子大学教授(日本近代文学三島由紀夫文学館研究員

       著書に「三島由紀夫 虚無の光と影」「豊饒なる仮面 三島由紀夫

 渡辺真也氏 映画監督、キュレイターで美術史博士、テンプル大学講師

       監督作品に「Soul Odysseyーユーラシアを探して」 

 

各方面の三島由紀夫オタクの話は彼のプライベートから

人生観、政治観、思想、文学、評論など、多岐に渡りてんこ盛り状態で

それぞれ、マスクを何度も直すほど興奮気味でした。(笑)

さらに、この企画を知って直前に申し込みをしたという、

有名な詩人の高橋睦郎氏まで加わって、壇上は大賑わいの様相でした。

 

トークショーで参加者皆の関心が高かったのがノーベル賞のこと。

魑魅魍魎がうごめいているような文壇の世界での駆け引きの凄まじいこと。

ドナルド・キーン氏は三島を押したが、エドワード・G・サイデンステッカー氏が

CIAがらみで反対したり、当時の日本作家協会の伊藤整が三島を好まなかったり。

で結局 川端康成氏が日本から推薦されたそうです。

 

さらに面白かったのが高橋氏の話。

ノーベル賞をもらった作家は皆んなその後ダメになり、

大した作品を残していない。大江健三郎しかり。

三島はもらえなかったのでその後奮起し、あの大作豊饒の海を完成した。」

 

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それぞれの登壇者の話は大変前評判が高かったので、

当日はfacebookでライフ中継しました。

また、その日のトークショーは後日You Tubeで放映される予定です。

 

公演後は、参加者各人が三保海岸へ赴き、夕方の風景を楽しみながら

三島由紀夫を偲び感慨にふけったことでしょう。

滅多にない参加の機会を得て、大満足の1日でした。

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All the Things We Never Said / 日本映画「生きちゃった」(石井裕也監督)

胸に突き刺さるような映画だった。
日本映画「生きちゃった」 (石井裕也監督)

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最初から最後まで緊張の連続で目が離せないのは
「TENET」と同じだが、
あちらはアルゴリズム(時の転換)に、
こちらは翻弄されるパッション(愛憎)に。
幼馴染の3人組。うち二人は夫婦になっており、
女の不倫から離婚とトラブルを繰り返すが、
友達の男は中に入り、二人の相談相手になるほど
優しい(いや、そう装う)。
けれども、愛のない建前の生活を5年も無駄に
過ごしたという女が自由に生きようとした時から
3人の悲劇が始まる。
三角関係にありながら本音を隠して暮らす彼らの
半年ごとの変化を各章のように描いていく。
いつも3人と一緒だったその夫婦の女の子が
傍観者のようで、彼らを見つめる目が痛々しい。
女親が死に、取り残された子供は
これからどんな人生を送るのだろう。
それに気がついた男親は子供に向かい、
泣きながら本音を語ろうとするところで映画は終わる。
この映画は香港映画祭が出資し、
石井監督他ツァイ・ミンリャン監督などアジアの
6人の監督に同じ予算が与えられ、
「原点回帰、至上の愛」をテーマに作られた。
「生きちゃった」は「All the Things We Never Said」
というタイトルで海外で公開予定。
「TENET」は時の転換する事の難解さに戸惑ったが、
「生きちゃった」は人の感情の不可解さが
もう一度見ないと解らない。
最近の日本映画は韓国映画に負けていると思っていたが、
どうしてどうして、こんなに鋭い感覚の映画があったんだと
嬉しくなった。
(11/14 静岡シネギャラリーで鑑賞 11/26まで)

蕎麦工房「玄庵」(蕎麦屋探検 その1)

昨晩、団創の仲間とオンラインで蕎麦談義を楽しんだ。
そして今日、気になっていた蕎麦屋が藤枝にあるの思い出し、
ちょうど焼津に用があったついでに寄ってみた。
藤枝高洲にある蕎麦工房「玄庵」。

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1年ほど前、丸子の匠宿で、蕎麦祭りがあった折、
藤枝の蕎麦屋「八兵衛」とここの「玄庵」が店を出していた。
有名な「八兵衛」が長い列だったのに比べ、
「玄庵」は誰も並んでいなかった。
「八兵衛」は特に美味しいとは思わなかったので、
「玄庵」の方の生蕎麦を買って家で食べた。
蕎麦も良かったが、つゆがうまかった。
 
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で、今回は「せいろ」と「ミニ天丼」のセットを注文した。
たまたま、私が贔屓でよく行く「こなや」と同じメニュー。
印象を「こなや」と比べてみた。
「こなや」を5とすると
蕎麦4、つゆ5、天ぷら3、ご飯3、で特に天丼がおちる。
しかも値段は「こなや」が1,150円「玄庵」が1,350円。
この勝負「こなや」の勝ち。
さて、次はどこの蕎麦屋を探検に行こうかな。
 

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静岡のレガシー、「浅間神社」と「臨済寺」をめぐる。

10月24日、昼は浅間神社へ、夜は臨斎寺へ。

静岡市の代表的な社寺体験の貴重な1日でした。

 

浅間神社で行われた「オクシズ漆の学校」第1回。

今回は静岡文芸大学の先生が講師となって、

日本の漆文化の解説と、漆塗りの改修が終わって

12月の通初めを待つばかりの浅間神社桜門他の見学と説明が行われた。

 

祖父、父、私と三代静岡にいる我が家に取って、浅間神社は身近すぎて、

これほど価値ある文化財だとは思っていなかった。

 

五十六の神々が鎮座する浅間神社

神戸(かんべ)、浅間(せんげん)、大歳御祖(おおとしみおや)、

麓山(はやま)、八千戈(やちほこ)、小彦名(すくなひこな)、

玉鉾(たまぼこ)、

の名前がやっと覚えられえた、s七つの神社の総称が浅間神社

 

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まずは大歳御祖神社から始まった平成令和の大改修が

小彦名神社を経て、楼門まで終了した。

漆塗りの文化財は日光のある栃木県(90棟)に次いで、

浅間神社久能山東照宮を持つ静岡が36棟の静岡県が2位とか。

ただ、漆は直射日光に弱く、2年前に済んだ小彦名神社を

見ると分かるように劣化が激しい。

 

それでも文化財として貴重な部分はたくさんあり、

解説の先生の説明に一つ一つ頷くことばかりだった。

私の生きている間に7社あるすべての神社が蘇る姿を見ることが出来るか。

それだけでも長生きしたいですね。

 

さて、その日の夜は「臨斎寺秋の特別拝観と修行体験」に参加した。

僧侶の修行道場として有名な臨斎寺は浅間神社ほど親しみはないが、

格調高い禅寺として、一度は座禅体験をしたいと思っていた。

今回はわずか15分の座禅体験だが、

社内拝観とともに坐禅を味わえるプランだったので参加した。

 

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賤機山の山腹にある臨斎寺は実際に奥まで案内されると、

街中にあっても山寺のよう。

灯篭に照らされた階段を登りつめると本堂がある。

まずはその方丈の間で香を炊き、写経を試みる。

続いて坐禅堂にて坐禅体験を15分。

 

座り方や手の組み方など説明があるが強制はなくゆるい坐禅の時間だ。

警策(棒)も、自身が気が散った時などに自主宣告していただき、

折れることもある警策とは程遠く、降ろしてなでる程度のもの。

体も揺れ動かず、思っていたほど長くない15分だった。

 

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後半は寺院内の拝観。

有名な岩が多い庭園、徳川家康少年時代(竹千代)が学んだ部屋、

最上階にある茶室など、華やかではないけれど書院造りの見事な建物を

回遊して説明を受けた。

 

浅間神社も臨斎寺も静岡人にとっては馴染みの社寺だけれど、

それほど重要視されていない。

本当は、ともに由緒ある世界に誇れる日本の文化遺産だと再認識できた。

歌集「滑走路」を読む。

歌集「滑走路」 萩原慎一郎 著

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この本、だいぶ前に図書館で借りて読みました。
また、10/3朝日新聞夕刊の一面に紹介されていました。
歌集としては俵万智の「サラダ記念日」以来の
3万部を越すベストセラーとなっているそうです。
この度、文庫化されたので、買って再読しました。
  
  群衆の一部となっていることを
     拒否するように本を読みたり
  牛丼屋頑張っている君がいて
     君の頑張り時給以上だ
  きみのため用意されたる滑走路
     きみは翼を手にすればいい

「ホスト万葉集」もそうですが、
昔も今も、若者の自己表現手段として、
短歌はとても相性がいいようですね。
歌集「滑走路」は小説化され、さらに映画化されるそうです。

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18切符で南信州・その時のハプニング

野辺山から小海線小淵沢へ戻って来て、
これから行く茅野までの列車を待つ間、
休憩所で立ち食い蕎麦を食べていて気付いた。
「眼鏡がない!」
 バックの中も、ポケットにもない。
改札口の乗務員に聞いたが届け出がないという。
そのうち彼は私が乗ってきた列車が
まだ止まっているから確認してきたらどうかという。
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 その列車の発車まで、あと1分。
私はダッシュして列車に駆け込み運転手に聞いた。
彼は黒い眼鏡を見せてにっこり。
「このメガネですか?」
「それです!」
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私は運転手と拾ってくれた人にお礼を言って、
列車を降りようとした時、ドアがす〜と閉じた。
「すみません、この列車には乗らないんです。」
大声で言ったら、
運転手は気付いてドアを開けてくれた。
間一髪、ご迷惑かけてスミマセン。
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