今年観た映画・・・コロナ下で21本も

今年はコロナの影響で映画館が閉鎖されたり、

上映予定の映画が延期になったり、

好きな映画もお預けか、と思ったけれど、

例年以上、21本の映画を鑑賞した。

 

日本映画「カツベン」

イギリス映画「家族を想う時」

韓国映画「パラサイト」

アメリカ映画「アイリッシュマン」

アメリカ映画「1917」

日本映画「初恋」

アメリカ映画「名もなき生涯」

日本映画「三島由紀夫と東大全共闘

日本映画「半世界」

日本映画「火口のふたり」

中国映画「在りし日の歌」

ベルギー映画「その手に触れるまで」

フランス映画「グレース・オブ・ゴッド」

日本映画「君はなぜ総理大臣になれないのか」

日本映画「ひろしま

韓国映画「はちどり」

アメリカ映画「TENET」

日本映画「生きちゃった」

チェコ映画「異端の鳥」

韓国映画「詩人の恋」

日本映画「スパイの妻」

 

以下、その中で選びに選んだ3本(公開順)

 

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日本映画「火口のふたり」

身も心も知り尽くした夫婦でもない男女2人だけの映画。

震災を経て火口の崖っぷちにいる不安な日本人を暗示しているよう。

案の定、コロナになってしまった今、黙示録のような映画に思えた。

 

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フランス映画「グレース・オブ・ゴッド」

性的虐待を描いてもセンスのいいフランス映画の味が消えない。

3人の男の物語をオムニバスではなくらせん状に描いて絶妙。

最近少ない気持ちをポジティブにさせるジェンダー映画でもある。

 

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チェコ映画「異端の鳥」

自分への虐待が重なるにつれ生きる為の知恵と力が備わってくる。

野生の中に放り投げられた少年の行為は善悪で判断出来るのだろうか。

このモノクロ映画は人間を救済する張り詰めた1本の蜘蛛の糸のように思えた。

 

Netflix」に入ろうか迷っている。

韓国ドラマ「愛の不時着」を観たいし、

Netflix製作の優れた映画が多々あるという。

劇場で観たいのはやまやまだけれど。

 

 

今年(最後まで)読んだ本

コロナでステイホームと言うこともあってか

結構本を読んだような気がしたので、振り返ってみた。

今年「最後まで読み通した」本。

 

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ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー (プレディ みかこ)

漂流老人ホームレス社会 (森川すいめい)

方丈記 (鴨長明)・・・朗読でも

コンビニ人間 (村田沙耶)

近代日本150年 (山本義隆

自発死 (野間戸ケン)

文章読本 (三島由紀夫

1968年無数の問いの時代 (国立歴史民俗博物館展示会図録)

BLが開く扉 (ジェームス・ウェルカー)

ホスト万葉集 (手塚マキ他)

遅いインターネット (宇野常寛

きみの鳥はうたえる (佐藤泰志

美術展の不都合な真実 (古賀太

縮み志向の日本人 (李御寧

滑走路 (萩原慎一郎)

紋切り型社会 (武田砂鉄)

情報生産者になる (上野千鶴子

 

面白かった本

「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」

コンビニ人間「紋切り型社会」

感銘を受け得た本

「漂流老人ホームレス社会」「近代日本150年」

勉強になった本

文章読本」「縮み志向の日本人」

「情報生産者になる」

 

その他、興味があって買った本で

途中までで積ん読になってしまった本。

業平(高樹のぶ子) FACTFULNESS(ハンス・ロスリング)

美を見極める力(白州信哉) わたしを離さないで(カズオ・イシグロ

他多数。

 

静岡駅前の戸田書店が閉店してしまってとても残念。

あの店の2階はオアシスだった。

その代わり、よく静岡県立中央図書館へ出かけた。

古いけれど、市立図書館と違って静かにゆったり過ごせる。

 

青春18切符で旅する鈍行列車の中で、

本が集中して読めたのも大発見だった。

コンビニ人間」や「君の鳥はうたえる」など

短めの本はぴったり。

 

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年末に作家の平野啓一郎氏オススメの大作、

「男らしさの歴史」I を県立図書館で借りた。

1巻で800ページもある本なので、

正月休みにざっと概略だけでも読もうと思う。

 

 

 

 

今年最高の衝撃作品・チェコ映画「異端の鳥」

 

暗そう難しそう、更に上映時間が長い。

評判の映画だから観たいけれど気が進まない。

観る前はそういうタイプの映画だと思っていた映画「異端の鳥」。

 

結果、この映画は難解でなく、時間が長くも(3時間)感じませんでした。

また、暗闇の中にかすかな明かりが射してくるような映画でした。

 

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「異端の鳥」とは原題で「Painted Bird」といい、

映画の中の一場面に出てきます。

農夫が鳥の羽にペンキを塗り、同じ鳥の群れに放つと

鳥の群れはその鳥を自分たち違うとみなし、次々に突いて殺してしまいます。

 

この映画は第二次世界大戦中のヨーロッパのある国。

ホロコーストから逃れてきた少年が、祖母が死んだため1人になってから後、

様々な村で過酷な体験をしながらも家までたどり着く、

一種のロードムービーの形式になっています。

 

村人たちと違う髪の毛と目の色を持った少年は

全ての所で、「異端の鳥」のように虐待を受けます。

あまりの酷さに途中退出者が続出したとか話題になりました。

 

この映画が描くのは、少年が出会った人達がどんな事をするのか。

人間は異質なモノに対して、どこまで残虐な行為が出来るのか。

怖いもの見たさと、もういい加減にしてくれという勝手な観客は

まるで自分が受けているように追体験していきます。

 と同時に、そういう行為を受けたモノはどういう風にして

自分を守り、生き抜いていくか。

大人だったら自殺という方法を考えるかもしれないけれど、

動物とか子供はそこまで思いつかない。

 

 大人を見習いながら、あるいは大人と戦いながら、

この逆境の中で生き残る知恵と技術を身に付けていきます。

その為に、この少年は言葉を失ってしまうけれど。

いわゆる一種のサバイバル映画のようにも取れます。

 

最後は戦争が終わり、名前も言えなかった少年は父と再会し、

思い出したように自分の名前を窓のガラスになぞります。

単なる異質の生き物として名前さえ知らされていない観客が、

初めてこの少年が普通の人間であることに気付く感動的な場面です。

 

少年が行く先で出会う人の名前が各章のタイトルとなる映画ですが、

最後の章で少年の名前がタイトルになり明かされます。

 

この映画はただ一点、「人間とは何か」を見つめ、

私たちに学ばせ考えさせる、貴重なそして極めて崇高な作品です。

(2020/11/23 静岡シネギャラリーで鑑賞)

 

口坂本温泉から蕎麦「つど野」へ

名前は知っているけれど、行った事のない
安倍奥の温泉「口坂本温泉」。
なんでも掛け流しの湯がヌルヌルしていると
聞いて、出かけて行った。

静岡から約1時間、もうちょっと走れば井川湖に着くほど遠い。
9:30にオープンしたばかりなのに、もう3人入浴中だった。
内湯と露天があるが、内湯の方が暖かくヌルヌル感も強い。
風呂も休憩所も広くゆったりしていて、これで300円は安い。
当面、奈良田温泉へ行かなくて良いかな。

さて、帰り道は、松野にある評判の蕎麦「つど野」へ。
こちらも駐車場に車がいっぱい。
ここは、せいろしかなく、それに昼過ぎには
無くなってしまうとか。
 
例のごとく、「こなや」5と比較して、蕎麦6、つゆも6。
一言、上品で丁寧な、極上の蕎麦屋さんですね。
値段が880円(税込)だから、滅多に来れないけれど、
蕎麦好きのお客さんが来たら連れて行きたい。

三保海岸にて「三島由紀夫トークショー」を聞いた。

50年前の今日(11/25)、作家三島由紀夫が市ヶ谷の自衛隊駐屯地で

クーデターを促す演説をしたのち、割腹自殺を遂げました。

 

当時私は大学生で東京にいるはずでしたが、

学生運動により休校が続いており静岡の自宅にいたと思います。

テレビのニュースを聞いて大変ショックを受けました。

また、妹は高校の先生が教室に飛び込んできて、

「今三島由紀夫がアジをやってその後割腹した。」と叫んだそうです。

 

その三島由紀夫が逝って50年の今年、三保海岸の施設「みほしるべ」において

三島由紀夫天人五衰展」が催されています。(11/29まで)

三保や清水近辺は三島氏の遺作「豊饒の海4部作」の最後「天人五衰」の

舞台となっているそうで、その縁もあって清水の美術評論家本阿弥清氏の

三島由紀夫関連コレクションが展示されています。

 

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またその関連企画として
三島由紀夫関連トークショー」が11月22日に行われました。

それ以前に展示会を見に行った私は、知り合いの「みほしるべ」の係員から

トークショーの話を聞き、すごい人達の話が聞けますよ、と勧められました。

当日の主催者のトークによると、わずか15分で定員に達してしまったそうで、

申込日の開始時間に予約の電話をした私は幸いにも受け付けてもらえました。

 

私自身は事件後、それほど三島由紀夫氏の事は興味はありませんでしたが、

最近氏の作品「文章読本」を読んで、あまりの博識と美しい文章に惹かれ、

すっかり魅せられてしまったこともあり、

とてもいいチャンスに恵まれたと思いました。

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4人の専門家が二人づつ前半と後半のテーマを語る3時間の講演です。

 

三保の松原豊饒の海

 安藤礼二氏 文芸評論家、多摩美術大学教授、

       著書に「光の曼荼羅ー日本文学論」「折口信夫」 

 小二田誠二氏 静岡大学教授(日本言語文化)、

       静岡の歴史・文化・産業についての仕事多数。

 

三島由紀夫の世界観」

 井上隆史氏 白百合女子大学教授(日本近代文学三島由紀夫文学館研究員

       著書に「三島由紀夫 虚無の光と影」「豊饒なる仮面 三島由紀夫

 渡辺真也氏 映画監督、キュレイターで美術史博士、テンプル大学講師

       監督作品に「Soul Odysseyーユーラシアを探して」 

 

各方面の三島由紀夫オタクの話は彼のプライベートから

人生観、政治観、思想、文学、評論など、多岐に渡りてんこ盛り状態で

それぞれ、マスクを何度も直すほど興奮気味でした。(笑)

さらに、この企画を知って直前に申し込みをしたという、

有名な詩人の高橋睦郎氏まで加わって、壇上は大賑わいの様相でした。

 

トークショーで参加者皆の関心が高かったのがノーベル賞のこと。

魑魅魍魎がうごめいているような文壇の世界での駆け引きの凄まじいこと。

ドナルド・キーン氏は三島を押したが、エドワード・G・サイデンステッカー氏が

CIAがらみで反対したり、当時の日本作家協会の伊藤整が三島を好まなかったり。

で結局 川端康成氏が日本から推薦されたそうです。

 

さらに面白かったのが高橋氏の話。

ノーベル賞をもらった作家は皆んなその後ダメになり、

大した作品を残していない。大江健三郎しかり。

三島はもらえなかったのでその後奮起し、あの大作豊饒の海を完成した。」

 

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それぞれの登壇者の話は大変前評判が高かったので、

当日はfacebookでライフ中継しました。

また、その日のトークショーは後日You Tubeで放映される予定です。

 

公演後は、参加者各人が三保海岸へ赴き、夕方の風景を楽しみながら

三島由紀夫を偲び感慨にふけったことでしょう。

滅多にない参加の機会を得て、大満足の1日でした。

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All the Things We Never Said / 日本映画「生きちゃった」(石井裕也監督)

胸に突き刺さるような映画だった。
日本映画「生きちゃった」 (石井裕也監督)

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最初から最後まで緊張の連続で目が離せないのは
「TENET」と同じだが、
あちらはアルゴリズム(時の転換)に、
こちらは翻弄されるパッション(愛憎)に。
幼馴染の3人組。うち二人は夫婦になっており、
女の不倫から離婚とトラブルを繰り返すが、
友達の男は中に入り、二人の相談相手になるほど
優しい(いや、そう装う)。
けれども、愛のない建前の生活を5年も無駄に
過ごしたという女が自由に生きようとした時から
3人の悲劇が始まる。
三角関係にありながら本音を隠して暮らす彼らの
半年ごとの変化を各章のように描いていく。
いつも3人と一緒だったその夫婦の女の子が
傍観者のようで、彼らを見つめる目が痛々しい。
女親が死に、取り残された子供は
これからどんな人生を送るのだろう。
それに気がついた男親は子供に向かい、
泣きながら本音を語ろうとするところで映画は終わる。
この映画は香港映画祭が出資し、
石井監督他ツァイ・ミンリャン監督などアジアの
6人の監督に同じ予算が与えられ、
「原点回帰、至上の愛」をテーマに作られた。
「生きちゃった」は「All the Things We Never Said」
というタイトルで海外で公開予定。
「TENET」は時の転換する事の難解さに戸惑ったが、
「生きちゃった」は人の感情の不可解さが
もう一度見ないと解らない。
最近の日本映画は韓国映画に負けていると思っていたが、
どうしてどうして、こんなに鋭い感覚の映画があったんだと
嬉しくなった。
(11/14 静岡シネギャラリーで鑑賞 11/26まで)

蕎麦工房「玄庵」(蕎麦屋探検 その1)

昨晩、団創の仲間とオンラインで蕎麦談義を楽しんだ。
そして今日、気になっていた蕎麦屋が藤枝にあるの思い出し、
ちょうど焼津に用があったついでに寄ってみた。
藤枝高洲にある蕎麦工房「玄庵」。

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1年ほど前、丸子の匠宿で、蕎麦祭りがあった折、
藤枝の蕎麦屋「八兵衛」とここの「玄庵」が店を出していた。
有名な「八兵衛」が長い列だったのに比べ、
「玄庵」は誰も並んでいなかった。
「八兵衛」は特に美味しいとは思わなかったので、
「玄庵」の方の生蕎麦を買って家で食べた。
蕎麦も良かったが、つゆがうまかった。
 
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で、今回は「せいろ」と「ミニ天丼」のセットを注文した。
たまたま、私が贔屓でよく行く「こなや」と同じメニュー。
印象を「こなや」と比べてみた。
「こなや」を5とすると
蕎麦4、つゆ5、天ぷら3、ご飯3、で特に天丼がおちる。
しかも値段は「こなや」が1,150円「玄庵」が1,350円。
この勝負「こなや」の勝ち。
さて、次はどこの蕎麦屋を探検に行こうかな。
 

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