家具の事

工芸の復興

工業製品は機械で作るモノ。 工芸は手仕事によるモノ。 もちろん、こんな単純な分け方はナンセンスでしょう。 しかし、工業製品がどんどん海外生産にシフトしていく現状をみると、 伝統に裏打ちされた工芸をもう一度見直すこと。 ガラパゴス化を利用し、文化…

本物は残らない

嘗て、静岡の伝統技術であった「指物」。 今、「指物」技術を受け継いだ、腕のいい職人さんに仕事がない。 我が社のような零細企業にも、仕事を探す問い合わせがあった。 このままで行ったら、「指物」は、絶滅危惧種となるのではないだろうか。 先日、和家…

三越ショーウィンドウを飾る「吉蔵」の家具

日本橋三越本店の、今秋のビッグイベント。 <JAPAN STYLE > 和の様式×モダンの、新しい生活 10月27日(水)からはじまる、この特集に先がけて、 三越ショーウィンドウでは、JAPAN STYLEの逸品を紹介しています。 その一角に、吉蔵の「創作李朝家具」四方棚…

キューブな厨子・新宿展でお披露目

「吉蔵」が提案するのは、新しいコンセプトから生まれた、キューブな形の厨子。扉の開閉でない、閉じるカタチと開くカタチがここにあります。明日(19日)からはじまる、「静岡の特産品・東京展」。 「吉蔵」は、さらに新しい「祈りのかたち・こころの在りか…

夢見る家具/森谷延雄の世界

森谷延雄(1893-1927) 関東大震災を境に大正・昭和を駆け抜け、モダニズムあふれる個性的な家具を発表。夢見る頃を過ぎても、夢見る男の残り香が漂っている森谷延雄の家具の世界。夢見る男は、時代に惑わされることなく、 自分の抱いた家具の夢を、追い続け…

正倉院「黒柿両面厨子」にあった合板の技術?

吉蔵室礼展が始まります。 正倉院の黒柿両面厨子、紫檀木画双六局、には合板の技術が使われていた。 無垢だけを信じず、合板の合理性を取り入れるべきだ。

島桑の小振りな家具/松坂屋展示会に向けて(1)

Kittsan流ブログを御覧いただいている方々にとって、どんなことが関心があるのか? アクセス解析の、検索キーワードを見ると、 「島桑・三越家具・針箱・座鏡台・江戸指物」 などの単語で検索される方が結構多いのです。 つまり、私にとってはメジャーな話題…

島桑の島・御蔵島

しっとりとした粘りのある木味。 緻密で底光りがする木目の美しさ。 山吹色からあめ色に妖変する幽玄な材、「島桑」。 桑を扱う指物職人を桑物師といい、別格の称号でありました。 彼らが口を揃えて言う、最高の島桑材のふるさとは、伊豆の島「御蔵島」。 島…

ホスピタリティの見本/家具マーケティングセミナー

たいへん有意義な家具のマーケティングセミナーに参加しました。 講師は、仙台の小売店「家具の大丸」の社長、大村正氏。 家具への愛情が溢れる、素晴らしいお話しで、1時間半がアッと言う間でした。 森の都仙台の青葉区本町は、私も何度か通ったことがある…

たがやさん(鉄刀木)はお嫁に/サイドボード後記(2)

今年のKAGUメッセで、栄誉に輝いた鉄刀木サイドボード。 今回の朗報が功を奏してか、3年を経て嫁いでいきました。 3年前、2007年のKAGUメッセ。 O氏とのコラボレーションによる、黒檀コンソール、島桑キャビネットなど、 指物モダーンの試みに続いて、鉄刀木…

イタリアからのメール/サイドボード後記(1)

今年の家具メッセGlobal Design Contestでシルバー賞を受賞した、 弊社製作鉄刀木(たがやさん)サイドボードのその後について。 メッセ終了後何日かして、イタリア・ミラノ発のメールがありました。 先日、静岡の家具見本市でお目に掛かりました○○○○でござ…

吉蔵サイドボード・シルバー賞受賞/KAGUメッセ2日目

KAGUメッセ2日目。 会場に行き、ブースで準備していると、 「おめでとうございます。表彰式のため、パーティに出席してくれますよね。」 家具組合青年部部長のN君が、声をかけてきた。 「えっ?」(でも、来たあっ・・!という予感も) 「シルバー賞に選ば…

究極はあつらえの家具/吉蔵の家具プレビュー

KAGUメッセまで、あと1日。 メッセ展示会場の、ツインメッセしずおか南館に行ってきました。 もうブースはすっかり出来上がっていて、あとは出展各社の家具が並ぶのを待つばかりです。 私たちは、ディスプレーに充分時間をかけたいので、 主要な家具は搬入日…

デザインからコーディネートへ/吉蔵の家具プレビュー(3)

KAGUメッセまで、あと2日。 土日もなかった週末。 我がショールームは、ブースを設けて家具を置き、 メッセさながらの状況になっています。 今回のブースは、2m×6mの細長いスペース。 そこに、サイドボード、スクリーン、チェスト、シェルフ、チェア。 そ…

技術は語る/吉蔵の家具プレビュー(2)

KAGUメッセまで、あと5日。 木工現場で板取り補助をしているとき、私の目が行ってしまう所。 傾斜版でカットされる木材を、鋸の歯のギリギリと所で離す指先。 調整しながら、徐々に組まれてゆくほぞの一点を見つめる目。 カンナを一気に挽くときの、動きのぶ…

素材を生かす/吉蔵の家具プレビュー(1)

KAGUメッセまで、あと一週間となりました。 私の友人が、新築のため家具の相談に訪れたときのこと。 「最近のハウジングメーカーの住宅は、あまり木が使われないようだね。」 「せめて、家具くらいは、木の良さを生かしたものを使いたい。」 インテリアに関…

吉蔵の家具プレビュー/KAGUメッセに向けて

6月2日(水)スタートの「しずおかKAGUメッセ2010」。 今年は家具メーカーだけで51社。他業種を合わせて62社が参加します。 数十人規模のメーカーから、数人の工房まで。 144㎡の最大ブースから、4㎡の最小駒まで。 卸向け業者のみを対象としているメーカー…

厨子職人 N氏

若いクラフトマンが、厨子職人を目指しているという話を聞きました。 「厨子職人」。そんな職種があるのかと、グーグルで検索。 そう言う肩書きで載せている人が、1人はいましたが、作品点数は一点のみ。 「厨子」とは? (三省堂 大辞林より) ・仏像・舎…

奥床しい日本の家具

雨の中、弊社にご夫婦のお客様がいらっしゃいました。 畳ベッドをあれこれ捜されているご様子。 和室の少なくなった最近は、畳ベッドは人気がありいろいろな種類が出ています。 昨年、駿府楽市で開催した「暮らしの調度展」で、弊社の製品を見たとの事でした…

木にこだわらない。

先日出張の折、銀座にある、桜製作所のショールームを見てきました。 「桜製作所」は、クラフトマンの師でもある、ジョージ・ナカシマの家具を受け継ぎ、 日本で、製作し続けているメーカーです。 高級材オールナットをふんだんに使い、その木目や、そのまま…

静岡家具はどうなんだ!?

朝日新聞夕刊の「Be evening」火曜トラベル。 毎週、日本一の○○ということで、各地の名品のランキング特集があります。 ランキング嫌いの私は、あまり関心はなかったけれど、今週の特集は「木工品」。 いやが上にも読まずにはいられませんでした。 そして、…

屋久杉のスクリーン/pick up our works

屋久杉は屋久島の標高500mを超える山地に自生するスギ。 このうち樹齢1,000年以上のものを指す。 (樹齢1,000年未満のものは「小杉」と呼ぶ。) 日本ではこの、長寿を象徴する屋久杉ファンが多く、建築や家具に珍重されています。 地域による嗜好もあって、…

島桑の二月堂/pick up our works

「二月堂」という、たためる机をご存じでしょうか。 「ちゃぶ台」ほど、大衆的ではなく、「文机」ほど、文人趣味でない。 組み合わせる、収納するという、実用性を備えた、今でも人気の和家具です。 正式名は「二月堂食堂机」(にがつどうじきどうづくえ)。…

椅子と日本人のからだ

地元静岡に、クラフトマン、デザイナーなどからなる「静岡椅子研究会」があります。 その主催で、先日「椅子と日本人のからだ」について、セミナーがありました。 講師は、「日本人の坐り方」を研究されている、武蔵野身体研究所主宰、矢田部英正氏。 氏は、…

木工作家・藤井慎介氏のこと

いつもお世話になっている染織家の影山秀雄さんから、 静銀ギャラリーでの展示会のDMをいただいた。 「今回は木工の人と一緒にやります。」 と、初めて聞く木工作家「藤井慎介」氏の名前が載っていた。 その日は、好奇心が強いというか、欲張りというか、1日…

和家具は世界に通用するか?

前回の続きで、午後は東京へ戻って、 和家具についての討論会「日本の家具文化を世界に」に参加しました。 小泉和子氏(家具文化史研究家) 大西長利氏(漆芸家) 須田賢司氏(木工芸) 長谷部純一氏(古美術商) 各界のそうそうたるメンバーがパネルディス…

壁に収納する仏壇/pick up our works

最近では、身近で故人を偲びたいという考えから、仏壇や厨子をリビングに置くケースが増えてきました。 そのため、仏壇のイメージを払拭した、家具調あるいはモダンスタイルの祈りの家具が主流となっています。 特に今回は、壁の中にすっぽり入ってしまい、…

島桑の座鏡台/pick up our works

今年の家具メッセでは、予想外でしたが、島桑製品が人気でした。 箪笥問屋さんから、島桑の鏡台を中心に注文を頂きました。 国内の銘木、島桑材を使った指物家具のなかで、特に好まれるのが化粧台(座鏡台)です。 畳の生活から生まれた和家具ですから、一面…

KAGUメッセの静岡の顔

KAGUメッセ入場口を入って、すぐ左側。 静岡を代表する家具メーカー5社が、 ミラノ在住のデザイナー、セルジオカラトローニ氏と組んで開発した、 「nippon sense」プロジェクトの発表ブースがあります。 イタリアらしい、軽快でカラフルなデザイン。 日本の…

浜床三様

今回の「吉蔵・室礼展」の写真にある「浜床」の由来は、 平安時代の帳台(天蓋付きベッド)の床に当たる部分です。 京都御所、清涼殿の皇后の御帳台に畳の台座として置かれています。(写真奥) 寝具を片付け、昼の御座としても使われました。 こうした使用…