映画の事

ふたつの世界を肯定的に/映画「サマーウォーズ」

お子様向け大作を作ることに囚われて、つまらなくなった宮崎アニメに代わって、 若者のこころをつかんだ、細田守監督。 前作の青春アニメ「時をかける少女」は忘れられない。 アニメ映画を見下していたオジサンが、何十年かぶりに胸キュ〜ンとなってしまいま…

ウソは罪?/映画「ディア・ドクター」

地方でくすぶる若者の屈折した心を描いた、日本映画の傑作「ゆれる」。 その、西川美和監督の新作「ディア・ドクター」を期待して見ましたが・・・。 村民に慕われる医師伊野(笑福亭鶴瓶)のもとに、ぼんぼん研修医相馬(瑛太)がやってくる。 看護師の大竹…

聞く喜びから読む感動へ/映画「愛を読むひと」

普段私たちは、文字を読み書き出来ることを、大したことと思っていない。 けれども本当は、文盲であった場合、その人の運命が狂ってしまう程、 残酷な事であることを、思い知らされる映画です。 少年マイケルは、偶然出会った年上女性ハンナと恋に落ちる。 …

男の夢の果て/映画「レスラー」

ベネチア映画祭グランプリ。 整形し、プロボクサーに転向した、俳優ミッキー・ロークがこの映画で再起し、 自身の姿を反映した凄まじい演技で、数々の賞に輝いた作品です。 子供の時にレスラーにあこがれて、プロレスの世界の門を叩き、 若さと肉体で、ホー…

1/4×○○回の選択/映画「スラムドッグ$ミリオネア」

人生とは「クイズ$ミリオネア」のようにスリリングな選択の連続なんでしょう。 でも、その醍醐味を味わえるのはゼロから出発した人間だけかもしれない。 インド・ムンバイのスラムで育った、孤児の兄弟サラームとジャマール。 少女ラティカと共に想像を絶す…

朝の牛乳のようなさわやかさ/映画「ミルク]

「希望がなければ、人生は生きる価値などない。だから、希望を与えなくては。」 主人公が暗殺されてしまう話なのに、こんなにもさわやかで、すなおに感動出来るのは、 この映画が最初から最後まで、「希望」というキーワードに貫かれているからでしょう。 19…

知のバトル/映画「フロスト×ニクソン」

今年のG.Wはシネギャラリーでアカデミー賞3作品を見よう! 「スラムドッグ$ミリオネア」「ミルク」「フロスト×ニクソン」。 いずれ劣らぬ、映画的興奮を味わえそうな作品群。 しかし展示会開催中の身、結局「フロスト×ニクソン」だけに終わりそうです。 ウォ…

究極のナルシストたち/映画「エグザイル/絆」

ハハハハハッ♪ 笑ってしまいました。 いまでもこういう映画があるんですね。 親分を殺そうとした男ウーを処分するミッションのために集まった男たち。 足を洗ったウーとその妻子をみて、使命を捨てる。 それも当然、彼らは子供の時から固い友情で繋がれた同…

お見事ですが・・・/映画「チェンジリング」

最近は、公開される映画すべてがベストテン上位に入る、 日本の映画評論家、ファンにきわめて受けのいいクリント・イーストウッド監督。 今回の新作「チェンジリング」も評価の高い映画でした。 シングルマザー・クリスティンは息子ウオルターとつつましく充…

甘ったれ男の人生/映画「ベンジャミン・バトン」

今年のアカデミー賞13部門にノミネートされたにもかかわらず、結局、 美術賞・メイクアップ賞・特殊効果賞の3部門受賞に終わった映画「ベンジャミン・バトン」。 しごく妥当な結果です。 ベンジャミン・バトンは80歳の姿で生まれた。 父に老人ホームの前に捨…

エイジレス・アイドル/映画「R.S. シャインアライト」

映画 『ブロードウェイ♪ブロードウェイ』は、 ミュージカル「コーラスライン」再演のオーディションに挑む若者たちを追い、 映画「サ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」は、 年老いても枯れない永遠のアイドルを描いた、ともに音楽ドキュメン…

納棺は誰が?/映画「おくりびと」

映画「おくりびと」は公開当初、決して見たい映画ではなかった。 何か、感動の押し売りのような気がしたし、主役の本木雅弘も好みではなかったので。 ただ、世評はいいし(キネマ旬報ベスト1)、再上映があったので見てきました。 チェロ奏者、小林大悟はオ…

今年の映画・私のベスト5

映画好きにとって、年末はベストテンの時期となります。 私が今年見た映画は20本。 「スウィニートッド 」 「ラストコーション」 「スタンドアップ」 「アメリカンギャングスター」 「魔法にかけられて」 「潜水服は蝶の夢を見る」 「人のセックスを笑うな」…

I'ts a free world/映画「この自由な世界で」

あの、my best movie「ブロークバックマウンテン」がなかったら、 たぶん映画「麦の穂をゆらす風」がそれに変わっていただろう。 そのケン・ローチ監督の新作「この自由な世界で」も素晴らしい作品でした。 派遣会社を解雇されたシングルマザー、アンジーは…

自分への挑戦/映画「イントゥ・ザ・ワイルド」

いつの時代も、ピュアな心の青年が目指すのは荒野。 本の中の真実に酔いしれ、日常を逸脱していく。 「イン・トゥ ・ザ・ワイルド」は男の自分探し、自分への挑戦を描いた映画です。 裕福な家庭に育ち、最高の成績で大学を卒業したクリスが関心を持つのは、…

社会の闇と人間の闇/映画「闇の子供たち」

社会の闇と人間の闇/映画「闇の子供たち」

病める夫婦と時代/映画「ぐるりのこと」

展示会に追いまくられての毎日でしたが、 少し落ち着いたので、最近見た日本映画「ぐるりのこと」をupしました。 30代の夫婦の10年の歩みと、彼らをとりまく周りの世界(ぐるりのこと)を丁寧に描いています。 ずぼらで女好きのカナオ(リリー・フランキー)…

ヒース・レジャー賛/映画「ダーク・ナイト」

新しい「バッドマン」シリーズの第二弾。 けれど、タイトルにバッドマンはない。 ダークナイト(dark knight・暗黒の騎士)というバッドマンの愛称のみ。 破滅していく世界を眺めることに唯一の快楽を求めるジョーカー。 彼が悪行を行うのに迷いはなく、いか…

my best movie/映画「ブロークバック・マウンテン」

my bestシリーズ、三回目は映画「ブロークバック・マウンテン」のこと。 同性愛のカウボーイの出会いから真の別れまでの20年にわたるストーリー。 その間に、妻を裏切り、家庭を壊し、ホームレスになっていく。 アン・リー監督が哀惜の情をこめて社会の網か…

1500人の入場者/映画「靖国」

話題の映画「靖国」見てきました。 普通の映画館で見られなかったのが不満でしたが、 主催者の話によると延べ1500人ほどの入場者があったとか。 予想以上のビッグヒットになったのではないでしょうか。 静岡で見ることが出来て大変よかったと思います。 以下…

やるせなきおスタイル

今月は、NHKBSで日本映画の巨匠、成瀬巳喜男監督の映画が何本か放映されています。 先日も、「稲妻」と「あにいもうと」が放映されました。 「浮雲」「めし」「乱れる」など代表作は見ていますが、傑作の誉れ高い「稲妻」は今回初めて見ました。 映画「稲妻…

俳優の存在/映画「休暇」

こういう淡々と静かに進む映画を見ると、俳優の力がいかに大きいかをつくづく感じました。 シングルマザーの美香と見合いし、交際を始めた中年刑務官平井。 子供はなかなかなつかないが、それでも2人は結婚する方向に進み、式も間近になる。 一方、独房で絵…

映画「靖国」自主上映?

24日付静岡新聞の朝刊社説に映画「靖国」が静岡で自主上映される事の記事が載っていました。 とうとう静岡で「靖国」が上映されることが決まったのはうれしいし、私も必ず見に行きますが・・・。 やっぱりこの映画は普通の映画館で見たかった。 最低でも2週…

一人称と三人称/映画「人のセックスを笑うな」

山崎ナオコーラの人気小説を同性の井口奈巳監督が映画化。 映画をみて本を読んだが、両方から受ける印象はだいぶ違っていた。 磯貝みるめと、えんちゃんと、堂本は美術専門学校の同級生。 彼らの学校に、かつての卒業生ユリが講師として赴任してくる。 みる…

絶対の悪/映画「ノーカントリー」

今年のアカデミー賞作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞を受賞した、コーエン兄弟監督の傑作です。 砂漠の真ん中で狩りをしていたモスは、偶然大量のヘロインと200万ドルの入った鞄を見つける。 周りには数体の死体が転がっている。仲間割れで生じた惨劇のよ…

視覚こそ生きるすべて/映画「潜水服は蝶の夢を見る」

フランス映画「潜水服は蝶の夢を見る」は感動を超えて、見るものに生きる意味を強く問う映画です。 ファッション誌「エル」の編集長ジャン=ドミニック・ボビーは華やかな生活から一転、 脳梗塞(こうそく)で左目のまぶた以外の自由が効かなくなってしまう…

ディズニー映画の限界?/映画「魔法にかけられて」

いまさらディズニー映画でもないと思ったけれど、 映画「魔法にかけられて」は評論家の受けもいいので、妻と見に行った。 結果は正直言って期待ハズレ。もっと面白い映画になったのに・・・。 アニメの国のお姫様ジゼルがひょんな事から現代のニューヨークに…

愛の地獄扁/映画「ラスト・コーション」

前回紹介したアン・リー監督の最新作です。 静岡ミラノでも公開されましたが、先日、清水映画祭のプログラムのひとつとなっていました。 こういう映画に出会ったとき、つくづく映画を見る充実感と喜びを感ぜずにはいられません。 日本軍に占領され、抗日運動…

大人の嘘と子供のうそ/映画「ウェディング・バンケット」

先日、NHKBS2で中国の監督アン・リーの初期の作品が放映されました。 「推手」「恋人たちの食卓」「ウェディング・バンケット」の3本。 特に「ウェディング・バンケット」は、だいぶ前映画館で見た事があり、大変好きな作品です。 NYでアメリカ人サイモンとゲイ…

好奇心は行動を促す

ドキュメンタリー映画「靖国」が話題になっている。 2年前、小泉元首相の靖国参拝についてもめていた頃、それなら 実際に見に行って見ないかということで、仲間で靖国神社探訪を行った。 大鳥居をくぐる時は緊張するが、社殿はいたってフツウの神社で拍子抜け…