my best architecture/京都御所「紫宸殿」

私がブログを公開してから今日で99回目。 そして次が記念すべき100回。 その次が当たり前ですが101回。 良くもここまで続いたと、我ながら自分を褒めてあげたい(?)100回記念の三連発です。 まあ、年代が替われば気も変わるので、ここ10年を遡っての私のベスト建築と家具と映画。 僭越ながら、この機会に紹介させてください。 まずは、私の好きな建築物を1つとなると、分母の数は少ないけれど、 京都御所「紫宸殿」。


御所のシンボルで歴代天皇の儀式が行われる正殿です。 入母屋造檜皮葺、総檜高床式木造建築。 平安時代寝殿造様式で、中央を母屋、四方がひさしの間、四囲を簀子、 簀子縁には欄干を設け、中央に十八段の階段があります。 そして、その正面階下東側に「左近の桜」、西側に「右近の橘」を配置してあります。 そののびやかで、はればれとした圧倒的な存在感。 この建築物を見たとき、すぐソウルの景福宮勤政殿」と比較してしまいました。(画像下) 「勤政殿」も皇帝の儀式に使用された木造建築で素晴らしいのですが、印象はまったく違いました。


「紫宸殿」は豪壮というよりも、優美で奥ゆかしい印象。 屋根の部分に曲線が少なく、廂も控えめに置かれ、水平方向への広がりを意識しています。 色彩的にも、造形的にも、ストイックで洗練されているその佇まい。 緑豊かな国ならではの瑞々しい姿は、木の文化を誇る日本人の美意識の表れなんでしょう。 せいせいするを意味する静岡の方言、「ごせっぽい」(正しくはごせっぽくない)は 「御所っぽい」から来ているというのは本当なんでしょうか。 徳川家康が気候温暖で過ごしやすい静岡を「御所っぽい」と言ったのが語源とか。


たしかに「紫宸殿」は、すがすがしい、せいせいする、はればれとした、という言葉が 思わずでてきてしまう、私の最も好きな日本建築です。 (三番目の画像は京都御所パンフレットから借用しました)