小泉和子著「室内の家具の歴史」/貴重な和家具の本(1)

 「 日本の家には家具がない・・・。    幕末に来日した欧米人は一様に驚いた。    なぜ伝統的日本家屋には家具が少なかったのか。    日本人はどのように暮らしてきたか。    豊富な図版と写真を基にした緻密な考察で日本の家具文化の変遷を追う。」 小泉和子著「室内の家具の歴史」(中公文庫)の紹介文です。


小泉和子さんは、日本の家具と意匠(インテリア)について、 歴史的考察をしてきた第一人者。 「家具と室内意匠の文化史」「箪笥」「和家具」などの著書があり、 現在、東京で自宅を「昭和の暮らし博物館」として開放しています。 最近でこそ、我々の生活には家具が欠かせないもの(のようで)、 ダイニングテーブル、チェア、ソファ、テレビボードなど、 リビングやダイニングには家具が所狭しと場所を占めている。 狭い寝室もベッドに占領されて、ただ寝るだけの部屋。 それらの家具は、日本が欧米化した近年になってから使われるようになったものです。 この本ではそれ以前、我々の先人がどのような暮らしをしてきたかを紹介しています。 床の間、押入れ、畳、板の間など建築と一体化していた日本のインテリア。 その中で、家具はどういう役割を果たしてきたのか。 必要とされてきた家具は何だったのか。


これから益々重要視されてくる、環境問題、省資源化に向けて、 近代化以降、西洋から入ってきた家具のアイテムでくくるのではなく、 日本人の暮らしの歴史から、これからのあるべき家具の姿を考えていく時が来ています。 家電業界やハウジングメーカーのコマーシャルに誘導されて、 過剰なインテリアを家の中に持ち込まないように。 この本はそのヒントを与えてくれると思います。