いやらしい(言い回しの)本

毎月1回、日曜日の朝日新聞第一面にこの本の広告があります。

何年も同じ、全く変わらない広告です。



神崎隆洋著「いい家は無垢の木と漆喰で建てる」ダイヤモンド社

これもまた、いやらしいほど、読者の関心の壺を心得たタイトルです。

もう第19版に増版を重ねているから、人気の本なんでしょう。

私も妙に惹かれるものがあって、読んでみました。



建築会社の社長さんが書いた本です。

要するに、

本物の家を建てたいなら、家の中は全て無垢の木を使いなさい。

壁は漆喰にしなさい。

木造在来工法こそ最高の建築技術。

ということを、延々と述べています。

その他の物はすべてだめ!と断定してます。

合板、クロスはもちろん、集成材もニセモノだと決めつけています。

構造も木造在来工以外を批判しています。

私も、木や漆喰を使った日本建築はいいと思う。

けれども、無垢の状態でなく、木材を加工した製品にもそれなりの存在理由はある。

石油化学繊維で出来た製品にも利点はある。

反対に、無垢材の持つ欠点、自然素材の不完全性もある。

そういうこと全てを読者に紹介してこそ、信頼を得るのではないだろうか。

それに、材料だけでなく、機能性、デザインについても語って欲しい。

バランスの取れた、多面的な物の見方が、家作りには必要とされるのではないだろうか。

読者にとって、ただ響きのいいタイトルだけでは、結局混乱を招くことになると思う。

実際、Amazonのブックレビューを見ても、そういう批判の多い本でした。