倫敦から維納へ/アーツ&クラフツ展(1)

3月20日(金)、青春18切符で鈍行に揺られ、4人の仲間と「アーツ&クラフツ展」(上野)へ。 前川國男が設計した「東京都美術館」の建物にも興味があって、ウキウキルンルン気分で出発しました。


美術(アート)と工芸(クラフト)がブレンドされた、オシャレな展示会。 だからタイトルも「倫敦(ロンドン)から維納(ウィーン)へ」と気取ってみました♪。icon10 「アーツ&クラフツ」は、イギリスを発端に、ヨーロッパ全土、 そして、日本の民芸運動に影響を与えた、世界的な近代のデザイン運動です。 ロンドンのアーツ&クラフツ展協会を基盤に、 ウィリアム・モリスを中心とした思想に啓発され、 伝統的な手仕事の復活と日用雑貨のデザイン改良が目標とされました。


都市の洗練と田舎の自然な生活感を、 ファブリック、服飾、テーブルウェア、家具などの装飾に生かしています。 20世紀初頭、中央ヨーロッパに渡った「アーツ&クラフツ運動」は 特にオーストリアの首都ウィーンで、世紀末美術と融合し、 分離派運動としてウィーン工房の設立に影響を与えました。


パトロンの庇護を背景に、創立者のヨーゼフ・ホフマンらが生み出した、 家具、陶芸、ジュエリーなどは、気品と洗練の極地を示しています。 こうしたアーツ&クラフツが、デザイナーよりむしろ職人の技術とセンスの中で、 花開いたことは、私たち家具職人にとってもたいへん励みになることです。 F/いちかわさんも書いていましたが、図面やスケッチを生かすも殺すも職人次第。 モデラーの力量の評価と、地位の向上がこれからますます切望されるでしょう。 それにしても、ロンドンとウィーンという「アーツ&クラフツ」の生まれた都市。 将来可能であるならば、ぜひ訪れてみたくなりました。 (アーツ&クラフツ展の画像はパンフレットから借用しました。)