ウソは罪?/映画「ディア・ドクター」
地方でくすぶる若者の屈折した心を描いた、日本映画の傑作「ゆれる」。
その、西川美和監督の新作「ディア・ドクター」を期待して見ましたが・・・。

村民に慕われる医師伊野(笑福亭鶴瓶)のもとに、ぼんぼん研修医相馬(瑛太)がやってくる。
看護師の大竹(余貴美子←凄い!)とともに治療にたづさわり、農村医療にやりがいを見つける。
やがて、伊野は村の未亡人(八千草薫)の病(ガン)を隠すことから、
自分の隠してきたウソに直面する時が来る。
失踪・・そして、伊野の正体を暴き、追い続ける刑事たち。
その後、村は、伊野、相馬、大竹は、未亡人は、どうなっていくのか。
サスペンスとユーモアがブレンドした、うまく出来た(騙された)人間ドラマというところでしょうか。
医療問題をからませる中に、曖昧模糊とした日本人の姿が浮かび上がってきます。
登場人物は、思いやりがあり、心優しく、人を傷つけないために、ウソで厳しい現実を隠そうとする。
考えてみれば、私たちの社会、政治、宗教、医療、皆そういう面がありますよね。
伊野は捕まりません。
刑事たちは意図的に逃がすようにも見えるし、
アッという、(心温まる?)ラストも用意されています。
「その嘘は、罪ですか。」という、キャッチコピー。
監督は、いろいろな解釈を見る人に投げかけているようで、釈然としません。
私は、「嘘は罪」だと思います。
ウソから始まったことは、結局、人間を不幸にする例が多いと思います。
この映画のウソ、私は肯定できません。
(画像は映画「ディア・ドクター」から拝借しました。)