和家具は世界に通用するか?
前回の続きで、午後は東京へ戻って、
和家具についての討論会「日本の家具文化を世界に」に参加しました。
小泉和子氏(家具文化史研究家)
大西長利氏(漆芸家)
須田賢司氏(木工芸)
長谷部純一氏(古美術商)
各界のそうそうたるメンバーがパネルディスカッション。
それぞれの方で、4回の講演会が出来るほどの、密度の高さ。
しかも定員30名ほどの内輪の会で、皆でカンカンガクガク、あっという間の3時間でした。

日本の高度な木工技術と日本独自のデザインは昔から評価されている。
かつて、「屏風」「漆器」「象嵌細工」「金具箪笥」は輸出工芸品のドル箱だった。
今は、西洋の模倣ばかりしているから、技術や創造性が育たない。
世界に通用するためには、日本の家具がアート性を持つことが必要だ。
4人の専門家の意見は、なるほどと思います。
でも、地元の家具業界の現状を見ると、やっぱり学者さんレベルの話。
デザインや文化は資料として残せますが、人の技は体で伝えなければ残りません。
そういえば、「日本建築は特異なのか」展で、目からウロコの職人技術論がありました。
建築の作り方で見ると、日本の一般的な建築技術は、
中国・韓国にくらべてかなり精度が高いといわれている。
この背景を建築用材や日本人の感性で説明することもあるが、
建築技術そのものがどのように維持され、
伝えられるかが大きな意味をもっているだろう。
すなわち、国や地方政府が技術者を掌握し、
技術を維持しようとしている中国・韓国に対して、
日本の場合、技術はあくまで民間ないし個々の家で伝承される。
もちろん時期の問題を考えなければならないが、これは技術だけの問題ではなく、
社会体制そのものの問題なのである。
つまり建築のあり方から東アジア社会の普遍性ないし日本の特異性の問題を考える、
重要な手がかりが得られるのである。
ー「日本建築は特異なのか」図録のまとめの部分より抜粋ー
日本の技術が高いのは、徒弟制度、家族制度で手仕事の技を伝えてきたからなんですね。
まずは、職人ありき。
だから正しいもの作り人間を育て、継承していくことが先決であり我々の使命なのでは。
それが出来れば、昔の輸出工芸品のように、再び世界で高い評価を受けるでしょう。

日本建築と家具について考察する今回の旅。
日々の暮らしに忙殺されて、ついつい後ろ向きになりがちな自分の頭をガツン!
私のもっとうは、「いつでも好奇心と夢をもって前向きに」でしたっけ。
早朝から深夜まで、超疲れましたが、妻とともに充実した1日を過ごしました。