30代の若者の今

今週水曜日の、NHKクローズアップ現代」。

「"助けて"といえない〜30代になにが?」

というタイトルで、30代の若者たちの、ある姿を取り上げていた。



30代のホームレスが増えているという。

30代の失業者80万人(前年同月比31%増)。

北九州市孤独死した男性をクローズアップ。

雇用の枠から外れて、困窮に陥り、多重債務に。

生活保護の窓口を訪れても、友人の親に食べ物を分けてもらっても、

最後のところで「助けて欲しい。」と言えない。

結局、9円残して、何もなくなり、饑餓により死亡。

登場する多くの若者が、ホームレスと気付かれないよう身ぎれいにしているそうです。

こうなったのは、努力が足りないんだと、自分を責めたてる。

そういう自分の姿を肯定出来ず、親兄弟、友人にも打ち明けない。

自分の無知を恥じるばかりですが、

未来ある若者の現実の姿に、唖然としてしまいました。

「早く助けて!と言わなければ。そんなことしてたら死んでしまうよ。」

とテレビを見ている方は、いたたまれなくなるけれど、

衣食住を、社会から奪われた者には、満たされている人の声なんて届かないのでしょう。

心だけは奪われまい、という思いからか、彼らの状況は益々悪くなっていく。

野宿している若者に、支援団体のボランティアが、

「困ったことがあったら、ここへ来てください。何か解決方法があるはずです。」

と、ひとりひとりに封筒を渡していく。

「相談窓口を単純化し、簡単に相談に乗れるようなシステムが必要。」と番組解説者は言う。



一方、弊社の取引のある、会社の社長も30代。

かつては、取材も受けるほど、商品を売る能力にたけた優秀な営業マン。

物流の流れを研究し、時代の傾向を的確に読んでいる。

物静かで、礼儀正しく、好印象。

高感度のネットワークを持ち、多くのスペシャリストを動かしている。

そして、ビジネスを補完するため、新たな会社の設立を目論んでいるそうです。

単純にいえば、勝ち組みと負け組みのそれぞれの姿。

しかし、ともに己を追い立て、常に緊張の中に置いている有様が見えてくる。

厳しい時代に青春を迎えた、団塊ジュニア世代。

親の世代とは、真逆な方向に向かっている時代に、生きている彼ら。

戦後、ゼロから立ち上がった、私たちの親の姿がダブってきます。

(画像の絵は エゴン・シーレ[Composition with Three Male Nudes] 

       リヒャルト・ゲルストル[Self-Portrait as Semi-Nude] 

                  ウィーン・レオポルド美術館のカレンダーより)