B級ゲテモノ映画の話題作/映画「第9地区」

いわゆる低予算の、B級ゲテモノSFには違いないけれど、たいへん面白い作品です。

今年のアカデミー賞で「ハート・ロッカー」「アバター」と共に話題になりました。



南アフリカ共和国ヨハネスブルク上空に突如宇宙船が出現。

28年後、乗船していた100万を超えるエイリアンたちは地上に移り、

隔離地区である第9地区で難民として地球人と共存していた。

そこは人間とエビ(エイリアンの蔑称)の争いが絶えないため、

管理組織MNU の社員であるヴィカスは、

エビたちを彼ら専用の居住区域である第10地区に移住させる命を受ける。

地区からの立ち退き要請の同意を得るため第9地区を訪れるが、

その際に見つけた謎の液体を浴びてしまい、徐々にエイリアン化していく・・・。

グロい映画は決して好きではないけれど、こういう描き方もあると感心。

肌の色や教育、地域、また経済状況の違いで区分けする人間の価値。

それをエイリアンに置き換えた、アパルトヘイト問題。

愚かな私たちは、差別とはどんなものかが解っていない。

ヴィカスのように、エイリアンになりかけて初めて、

その困難な問題に直面するんですよね。

という風にマジに考えるのもバカバカしいほど、なり振りかまわないのがこの映画。

それに、エイリアンの方がまともに思えるのも、作り物めいた話だと思うし・・・。

どちらもモノとして割り切ってしまえば、肉体が吹っ飛ぶのも、冷静に見られるのかも。

裸どころか、内蔵まで見せてしまっても、どうってことない現代に通じていますね。

とにかく、身に降りかかった災難から、必死に逃れるため戦うヒーローの姿が、

哀れでもあり、滑稽でもあり、そんな姿が自分と二重写しになってしかたがなかった。

アメリカや日本の、どうでもいい映画を尻目に、

辺境の国から来る映画は、まだまだ新鮮な面白さに溢れていますね。

と言うのは、うわべの言い方で、

いや、こんなゲテモノ映画は先進国の日米では到底作らない。

ここまでやるのは、後進国だから出来ること。

なんて、差別まるだしなのが、アカデミー賞や私たちの本心なのかも・・・ね。

(画像は「第9地区」オフィシャルHPよりダウンロードしました。)