素材を生かす/吉蔵の家具プレビュー(1)
KAGUメッセまで、あと一週間となりました。
私の友人が、新築のため家具の相談に訪れたときのこと。
「最近のハウジングメーカーの住宅は、あまり木が使われないようだね。」
「せめて、家具くらいは、木の良さを生かしたものを使いたい。」
インテリアに関心があり暮らしを大切にするお客様から、同じような要望を聞くことがあります。
静岡の家具の源は、江戸指物と同じ、武家用、商人町人向けの家具として始まりました。
好まれた木材は、「欅」「桑」「桜」「桐」など。
明治以降、見直されたのが、「ナラ」「ブナ」「シオジ」「キハダ」「タモ」など。
和家具を基本としている「吉蔵」では、
構造材としては、反り割れの起きにくい、おとなしく素直な材「しおじ」「きはだ」など。
木目や色合いなど、木の美しさを味わう材としては、「桑」「欅」「黒柿」など。
それぞれの用途に、素材を生かしています。
また、モダンな指物家具に挑戦している近年では、
稀少な材として高級家具に利用される「黒檀」「カリン」「ローズウッド」「メープル」
などを使用した、チェスト、シェルフ、厨子などを製作しています。
美しい木に恵まれた日本の人たちは、木目を愛で、木味を楽しむ「木の文化」を育ててきました。
貴金属や高級織物と同様、銘木を生かした純度の高い家具を鑑賞する眼を持っています。
「北欧やイタリアなど、世界の逸品家具を見てきたが、日本の家具に一番惹かれる。」
そう仰有る方々は少なくありません。
熟練した指物職人の手から生まれた家具に出会って、その控えめなただずまいに共感し、
美しい素材の魅力に気付かれているのでしょう。
今回の家具メッセ「吉蔵」ブースでは、稀少で特別な素材を生かした家具が並びます。
花梨材のあたたかさ、やさしさが祈りの家具に相応しい「ZUSHI KASHIKO」
ダンディなウォールナット材が大人の雰囲気を漂わせるパーソナルチェア。
清潔で女性好みの、メープル材による小振りのチェスト。など。
どうぞ、素材のもつカラー・テクスチャーと、、
それぞれの家具のフォルムのマッチングをじっくりとお楽しみください。