イタリアからのメール/サイドボード後記(1)

今年の家具メッセGlobal Design Contestでシルバー賞を受賞した、

弊社製作鉄刀木(たがやさん)サイドボードのその後について。

メッセ終了後何日かして、イタリア・ミラノ発のメールがありました。

 先日、静岡の家具見本市でお目に掛かりました○○○○でございます。

 お元気でいらっしゃいますか。

 こちらミラノはすでに夏の暑さと湿気で、息苦しい程の毎日でございます。

 貴社の商品を拝見して、市場を日本のみに定めず、

 西欧にも広げてご覧になったらというように考えました。

 ・・・・・・。

以下、ミラノサローネ出展の勧めと、そのためのサポートの申し出と続いていきます。

ご厚意に感謝し、将来可能性があるならば、

是非、世界の檜舞台に立ってみたい夢をご返事させていただきました。



メールの差出人は、メッセコンテストの審査員の一人の女性。

ミラノで32年間暮らし、ジャーナリスト業と建築デザイン事務所を経営。

建築、デザイン、美術、雑誌、コムニケーション、ファッション、舞台等の分野で活躍されている。

ご主人はイタリア人デザイナーで、静岡ブランド・nippon sense のデザインをされた方。

審査終了後、名刺交換させて戴いたときの事。

「御社の家具を拝見して、こんなことを思いました。

 ウイーン万博で世紀末芸術に多大な影響を与えた日本の工芸品は、

 きっとこういう物だったと想像します。

 控えめで、たおやかな、たたづまいでありながら、

 芯がある、きちっと着物を着た日本女性のような雰囲気を持っていますね。」

日本の伝統工芸である唐木指物をモダンな家具に置き換えたらどうなるか?

このサイドボードのなかに織り込んだ思いは、

幸いにも、西洋の文化の中に住む人たちに、伝わってくれたようです。

2007年冬、パリのメゾンェオブジェに、静岡県のブースへ仲間と出展した時の印象。

カラフルでスケールの大きい、西洋の家具の中にあって、

緻密で繊細な日本の家具は、独特の美しさを持っていることを実感しました。

国際的な舞台に進出することは、容易なことではないけれど、

どんな時代でも、日本の工芸文化はそういう方向に活路を見いださないと、

生き延びては行けないような気がしてなりません。