静岡の今と昔を見た。

梅雨の晴れ間の週末。 静岡の駅前に最近出来た、これから始まろうとしている新しいスペース。 遠い思い出の中に生きていた、やがて壊されてしまう懐かしいスペース。 静岡の今と昔の顔を、はからずもハシゴして見ることが出来ました。


静岡市美術館。 白で統一された空間の中を、乳白色のフレームが重なり、 その枠の中を、疎らな人の動きが見られる。 5月のオープンから館内環境の調整とか準備期間を経て、正式な企画展示は10月から。 今は知る人ぞ知るの、ゆったりした休憩所になっているようす。 私もしばしベンチに座り、人の流れをぼんやり見ていた。 7月からミュージアムショップ(MS)とカフェがオープンしたらしい。 MSを覗いたが、今は、残念ながら静岡らしさはなく、 静岡下駄が大ヒットした女性デザイナーの商品の、紹介の場になっている。 静岡駅前にあるのだから、これからの地方の美術館は、 せめて静岡の産業の未来をサポートする、デザインやアートの企画を考えて欲しい。


静活会館屋上プラネタリウムunnoteさんのブログ記事で知った、 静岡コピーライターズクラブ仕事展2010『コピーバザール』の会場。 わたしの子供の頃、「静活」は何もかも先端を行っていた。 1階のアイススケート場で楽しんで、屋上ではドームの中で満天の星と対話。 やがて、映画は斜陽となり、建物も老朽化。 地上からも見えるこのドームは、鉄錆に覆われて何も使われていないと思っていた。 昔はアートシアター、今は成人映画の小劇場へ向かうエレベータに乗る。 ほとんどの人が来ることのないこの場所。 忘れられた廃墟のようなドームも、中に入れば別天地。 電子音と、天井を星のように巡るコピーの文字。 しずおかコピー大賞の課題 「映画館で映画を観たくなるコピー」 の全作品が横長の紙に印刷されている。 「なんか、二時間まえより、恋人かもね」(グランプリ) 「あんな人も、泣くんだ。」 「なんでかな、この半券は捨てたくないんだ。」 「手に汗握るより、私の手を握ってよ。」 ・・・・・・・ 選ばれた作品はそれぞれに面白い。 でも、ちょっと不満なのは、本当の映画館ファンなのかなと思える点。 それでは私も、恥を承知でひとつ。 「今でも映画館に吠えている。何でこの映画上映しないんだと。」