工芸の復興
工業製品は機械で作るモノ。
工芸は手仕事によるモノ。
もちろん、こんな単純な分け方はナンセンスでしょう。
しかし、工業製品がどんどん海外生産にシフトしていく現状をみると、
伝統に裏打ちされた工芸をもう一度見直すこと。
ガラパゴス化を利用し、文化力で付加価値を付け、海外進出を目指すのもひとつの手だそうです。
11月10日日経新聞夕刊に、国立西洋美術館館長「青柳正規氏」のコラムがありあました。
日本のモノ 工芸の裏打ち
ー文化の質・技、戦略的に世界発信ー
美術の成り立つ要素は「創造性」「主題」そして「技」。
古代ギリシャ、ローマでは、「テクニック」の語源、「テクノ」こそ美術であった。
19世紀まではその3要素がバランスよく構成されたが、
20世紀市民階級の台頭とともに、手間暇のかかる技・質が切り捨てられた。
そして、創造性・主題に重きを置く、合理性のあるデザインが注目されるようになる。
日本は数百年の間、家族や徒弟制度による「技」の伝承が温存され、
世界にまれに見る、質の高さを維持してきた。
19世紀後半、ヨーロッパの芸術に多大な影響を与えた「ジャポニズム」。
その後も、高品質の工業製品と同時に、エコロジカルな文化も評価の的となっている。
グローバル化に汚染されず、技術が国内で独自の進化を遂げるガラバゴス文化。
外国の文化を吸収し、自然との共生の中で熟成し、新しい価値観を生み出してきた日本の文化。
これからは日本のモノ作りの背景にある文化を理論化し、説明していく必要がある。
その、理論化と説明が課題なのですが、それもまた、ヒントの記事がありました。