工芸の現代的課題

ユニクロ無印良品など、グローバルな工業製品と化したデザイン。

中央志向が強く、地域の個性が乏しいクラフト。

今、地域の伝統工芸は、どんな方向を目指していったらいいのか。

日経新聞11月13日夕刊 <現代の陶工 東京発 中村銀平さんに聞く>

に、その話題が取り上げられていました。



若者の感性で伝統を超越  ←ネット文明の工芸追求

金沢生まれの九谷焼窯元3代目。

長い伝統に頼る保守的な状況になじめず、渡米。

ヒッピー文化や反戦と連動したカウンターカルチャー的やきものの姿を見る。

今、前衛的やきもので国際的に活躍。

多摩美大でと陶芸を教える。

親は手工業の時代の人。

自分は手仕事が機械に奪われた工業化時代の人間。

「用」は機械が代用するので、「美」の部分を多様化し、時代を開く必要があった。

さらに、今のインターネット社会では、物だけのリアリティーではものたりない。

情報化に伴い、物より事を重視するようになっている。

産業社会の価値観は冷酷で、手で作るモノはいい物だ、では通用しない。

工芸を存続させたいなら、今の文明にどう向き合う必要があるか。

教鞭を執っている中村氏は、現代若者の豊かな感性を評価する。

やきものや木工を、器や家具の枠に縛ることのない、もの作りの発想を持っている。

工芸都市金沢を例に取り、クラシックとモダンのみで、コンテンポラリーの欠如を憂う。

地場産業や工芸が斜陽になる理由に目を向けるなど、現代と葛藤している。

大学を卒業し、勢いのあった若者の感性が数年でつぶれるそうです。

現実の地域社会に活躍の場がないからだ。

また、継承する文化や指導者がどんどん消え、いなくなっている。

学生時代の自由で柔軟な感性を、さらに磨いていく方法がない。

「豊かな感性が新たな文化を創造し、それが国や地方の魅力となり、

国際的にもアピール出来る。

そういう基本の可能性が自覚されていないのが惜しい。」

萎んでいく地場産業にため息ばかりついても、前へは進まない。

指導者は、体得した技術と感性を磨き続けながら、

無形の物を、若者に伝えていくことが大切である。

常にそう思いながらも、

伝え切れていないもどかしさを感じているのが現状なのですが・・・。