気になるコースター
JR静岡駅駿府楽市で、若い二人のクラフトマンの家具の展示を見てきました。
OさんとUさん。
Oさんとはたびたびお会いすることがあるのですが、
Uさんとは面識がありませんでした。
ただ、店の人に聞くと、静岡の若手職人のなかでも技術もセンスも人柄も
とても評判が良く、有望株だそうです。
彼の作った製品を見て、なるほどと納得できました。
一言で言うと、創意工夫があり、しなやかな感覚があふれる、やさしい家具です。
夫婦で仕事をしているそうで、奥様の主婦目線がかなり盛り込まれているようです。
そんな彼が作った小物を買ってみました。
ローズウッドの「コースター」と「箸置き」。
とてもきれいに出来ていて、しかも安い。
その内のコースターに、ちょっとした遊びがありました。
濃紫のローズの板の端に、すーっと数ミリの白い「白太(しらた)」が入っている。
白太とは、木材の樹皮に近い周辺部の事で、
腐りやすく、虫が入りやすいので、取り除く場合が多いです。
しかし、この場合色のコントラストとして、わざわざ残してある。
もちろん彼には、赤味(木材の中心部)だけの、濃紫のコースターもあります。
白太の入ったコースターを買って、1日経ち、二日経ち。
どうもその白太が気になって仕方がありません。
伝統的な指物などの常識として、白太は取り除くもの、と教わってきました。
吉蔵が扱っている島桑材などは、当初は赤味も白太もほぼ同じ色なのですが、
赤味だけどんどんあめ色に濃くなっていくのに、白太は白いまま変わりません。
だから、数年も経つと白太の部分の色が抜けて、木が死んでいるように見えます。
木の皮に近い部分もそのままカタチに残したテーブルのトップ。
木の幹を輪切りにしたどっしりしたスツール。
そういう遊び心のあるデザインもいいと思います。
ただ、そこで必要とされるのが、見立て、識別眼、センス。
日本人は、そこに「粋」と「野暮」を判別する繊細な感性をもっている。
だから、本当はこういう事、恐いんです。
慎重にやらなければ、ならないのです。