なにげないこと

NHKテレビ「クローズアップ現代」で、ドナルド・キーン氏の事を取り上げていた。

私たちにも馴染みの深いキーン氏は、日本文学研究で知られる米コロンビア大名誉教授。

今度の震災をきっかけに、余生を日本で送ろうと、帰化することとなったそうです。



国谷裕子キャスターとのインタビューで、日本のお好きな所は?と問われて、

「なにげないこと」と答えていました。

露地で会ったおばあさんが、「おかえりなさい。」と声を掛けてくれる。

傘を差し出されて、「すぐにお返しできないかも知れない。」と言うと、

「いいですよ。どうぞお使い下さい。」と返事が返ってくる。

僅かな金額の買い物でも、「ありがとうございます。」の言葉がついてくる。

「なにげないこと」を「さりげなく」、言葉や身体で表す日本人。

震災での国民の行動を見て、その感を一層強めたのでしょうね。

(オオッと!、ここまで来て歯が浮き、身体が痒くなってきてしまいました。)



先日、職人さんの所へ行く途中、少しばかり大きくなった早苗が、

ちょうど緑の波が繰り返すように、右へ左へ後へ前へ、なびいていました。

その特別珍しくもない風景の、何とも言えない懐かしさ、清々しさ。

車を降り、携帯のカメラを向け、シャッターを何度も押しました。

そしてそれを、今月のタイトルバックの画像としました。

今日から7月。

もう、梅雨明けのような猛暑が続いています。

長い夏、なにげないことに心を洗われて、ゆったりと過ごしていきましょう。