また会う日まで! 我が街の「ビスケットキング」

体文協・佐野つとむ氏推薦、おとなの男性が好む味。 村松具視のエッセー「駿河ピープル」に登場する女主人。 その、伝説のケーキ工房「ビスケットキング」が、先週閉店した。


私が家から呉服町商店街へ行く途中、一風変わった西洋風田舎スタイルの店があった。 何となく気になったけれど、少々閉鎖的で、覗くこともなかった。 それが、体文教ニュース「TOMO」に出ていたのに気付いたのはいつ頃だろう? お薦めのシュークリームを求めて、初めてドアを開けたとき。 ショーケースにあるケーキには値段が付いていない。 聞くと、思っていた値段の倍くらい。(私は工場生産品レベルと思っていた。) すごすごと気まずそうに引き下がる私の後に、何か冷たい視線を感じた。 そんなあまりいい印象がなかった「ビスケットキング」。 それからず〜と経って、 友人のマルウチさんから「静岡で一番美味しいケーキ屋さん」と聞いた。 再び、今度は妻に頼んで「ビスケットキング」のケーキを買ってきてもらった。 その時の、初めて食べたケーキたちのうまかったこと! その様子はkittsan流ブログ「A級グルメ/ビスケットキングのケーキ」に書きました。 入り口の看板に「since1995」と看板にあるから、すでに20年近くここ、研屋町にある。 家族が集まった時、誰かの誕生日、クリスマスイブ。 お祝いのケーキはいつも「ビスケットキング」のスィーツだった。


9月中旬、娘がケーキを買いに行ったら、何もなかったそうだ。 女主人が「あんた、いつも買いに来てくれる子ね。いろいろあって、店を閉めるの。」 陶芸家のご主人は遠くに、子育てしながらのケーキ作り。 それはそれは、たいへんだったでしょう。


最後のケーキは「ショートケーキ」「チーズケーキ」「クルミのタルト」。 一口一口、噛みしめながら、記憶にとどめる極上のスィーツたち。 「うちのケーキって、甘いもの嫌いな男の人がいいって言うの。」 香りと素材が全て味わえる、誠に大人の、男をも巻き込んだ「ビスケットキング」。 再開は半年後。 我が町からは去ってしまうけれど、藤枝で生まれ変わるそうだ。 (よくお問い合せがあるのですが、残念ながら2015年現在再開していないようです。)