さようなら、七間町静活映画館

9月は別れの季節。 オフコースの名曲「秋の気配」にあるような、恋の別れではないけれど、 自分の好きだったものが、消えてしまうのは、誠に辛いものです。 ケーキ工房「ビスケットキング」の閉店をお知らせしました。 そして、私の青春だった七間町静活映画館街も、まもなく終了します。 その別れを惜しむ集い、「Live Today」に行ってきました。


まず目指したのは、静活会館屋上にある、円形のドーム。 地上から見える姿はサビがひどく、普段は使用されていない。 プラネタリウムとして使用されていて、よく見に行ったものです。


中に入ると、静岡の映画の歴史を物語る、写真や看板画が所狭しと飾ってあった。 メッセージボードに書き込む。   
アイス・スケート場も、プラネタリウムも、 オリオン座も、有楽座も、アートシアター・ミラノも、 かけがえのない、我が青春。 


屋上の金網を通して見える、オリオン座の大壁画「グランドジャット島の日曜日の午後」 数億円の制作費、165万個の多治見製タイルで完成した、当時の文化人の見識の高さ!


私が子供だった頃何度も見上げた、斬新なここの風景を今でも覚えている。 スーラの点描画の手法をそのまま生かした、世界に誇る静岡の文化遺産です。 夕方、元静活営業本部長「斉藤隆」氏による、静岡の映画の歴史の話を聞いた。


メディアが、文字から画像へと大きく変貌を遂げていく、1世紀前の1919年。 江崎新聞一族が、静岡で静活の基となる映画会社を設立。 以降、オリオン座が出来、名画座、有楽座、アートシアターミラノなどなど、 懐かしい映画館の話が、次から次へと繰り広げられていきました。 私が映画に目覚めたのは、高校生の頃。 解りもせず、レネやマル、トリュフォーゴダールなどヌーベルバーグ映画をチェック。 当時あった映画新聞「銀幕週報」に投稿して、映画のチケットを頂いたことも度々。 映画は、本とともに、私の青春の大きな面積を占めていたものです。


あれから数十年。今でも、映画は私の心の友。 評判の高い映画が紹介されると、ワクワクして映画館に向かう。 七間町から鷹匠町へ映画館は移っても、生涯映画を追い続けて行くつもりです。


10月2日に営業を閉じる、七間町静活映画館。 でも、その文化遺産的価値のある建物は、有効に保存して欲しい。 一部は静岡市が購入し、今回参加したメンバーなどが、その利用を考えていくそうです。