十三夜の茶会

夕暮れ時、澄み切った東の空を見ると、僅かに左下が欠けた月が・・・。 そう、昨日は「十三夜」。 十三夜にちなんでしつらえられた茶会に、参加してきました。


二月に一度の茶会「遊子連」は、素人の私にも十分リラックスして出来る体験。 主人のMさんの、飾らない気さくなおもてなしに、身も心もくつろげます。 もちろん作法はあるのですが、基本はこのひとときをいかに楽しく過ごすかですから。


今回はアイセルにある茶室「葵心庵」にて。 階上に設けられた庭からも、美しい十三夜の月が望めます。 今夜は、簡単な食事も頂ける、飯後の茶事の席にお招き頂き、 菓子、薄茶の前に、吸物、八寸、酒などをごちそうになりました。


床の間の掛け軸には、
踏みて知る 地の寂けさや 後の月
後の月(十三夜)のために読まれた俳句。 なんと、角川春樹さんの句だそうで、選ばれた主人も驚いていました。


一旦座を外す、中立の時間があり再び庭へ。 酒でほてった顔に、夜風が心地良く染みてきます。 再び茶席へ戻ると、床の間に掛け軸はなく、一輪のしゅうめい菊が・・・。 時は流れて同じ事を繰り返さない、茶の世界のもてなしの現代性。 招かれる正客も、その習わしを知らなければ・・・。 にわか正客の私は、消えた掛け軸のいわれを、後の場で聞いてしまう粗相をいたしました。


四季折々、様々な装いで開かれる茶会の宴。 主人と客の一期一会のひととき。 極上の日本文化を堪能させていただきました。