木工をめざす若者たちへ

今年の夏から秋、立て続けに2人の若者が我が社を訪れた。

2人とも、「木工技術、それも伝統的な指物技術を学びたい。」と言う。

私は、「吉蔵」の家具を製作している職人さんの所に案内しました。



オープンで真面目な職人さんは、決して自分の腕を自慢せず、

若者に、楽でない生活のこと以上に、モノづくりの楽しさを語っていた。

両者の会話を聞きながら、私も木工をめざす若者に伝えたいことを考えた。

自分の美意識を揺るぎないものにすることがまず大事だと思う。

自分の創作物が美しいかどうか、ごまかしのない目で見ることが出来る。

誠実な職人さんにはそれがあります。

先を読む力があること。

早く親方が次に何をするか、判断できるようになった方がいい。

木取りから組立まで、何十の工程を経て家具は生まれる。

昔と違って身体で覚える時間がないから、メモを取ってそのサイクルをインプットしよう。

モノには魂があることを実感できるようになってほしい。

木工にだづさわる多くの人は気付いていると思うけれど、

木は生命体であるということがとても重要なことだと思う。

重い軽い、薄い厚い、明るい暗い、反る割れる。

その豊かな表情と性質を、日本の職人さんは見事に料理してきた。

木から生まれるデザイン、カタチは、無限にあると思う。

まだまだあると思うけれど、長年職人さんと過ごしてきて、そんなことを思いました。

私は、今の優秀な若者が、情報系とか金融系に流れていくことを苦々しく思っている。

手で触る、カタチあるモノを生み出していく「ものづくり」の喜びを体感して欲しい。

そして、多くの世代、世界の仲間と共有していくことの大切さに気付いて欲しい。

2人の若者の訪問から、そんなことが芽生る可能性を感じることが出来ました。