おまちゼミナール「暮らしと厨子」好評でした。

11月9日(水)午後、伊勢丹前ミライエにてセミナーを行いました。 セミナーと言っても大げさなものでなく、定員10名の気軽な雑談形式。 タイトルは「祈りのかたち・こころの在りか ~暮らしと厨子〜」 吉蔵の「掌(たなごころ)の厨子」を参考に、 私たちが厨子製作で学んできた、仏教の歴史や、先祖信仰の話をとりまぜ、 今、故人を偲ぶ形はどういう姿が好ましいのか。 今、生きている人たちのこころの在りかはどこに置けばいいのか。 ざっくばらんに、皆さんの思いや疑問を語り合う場を設けました。 冠婚葬祭の(葬)の部分は、表だって語られることは少ないし、 宗教的な慣習が絡んで、決まり事の範囲を外すことはありません。 ただ、現在は核家族が進み、先祖代々の家系を祀ることから、 身近な人たちを偲ぶ姿が少しづつ増えてきています。


御仏壇はあるけれど、それとは別にもっとお守りのようなもの、 小さな祈りの場、こころの在りかを託す場が欲しい。 そんな要望のなかから、 手のひらに乗るほどのかわいい「掌(たなごころ)の厨子」が生まれました。


元来「厨子」とは、大切な物を収めておく場所、今でいうキャビネットです。 正倉院に保存されている「黒柿両面厨子」は両面ハッチのような形で、 書庫として巻物などが収められていました。 また大切な物=仏像から、厨子には御仏像が収められているケースが多い訳ですね。


皆さんのお話を伺うと、 「新築したり、マンションに住むと仏壇置き場に困る。」 「リビングに仏壇を持ってくると違和感がある。」 「もっと小さく、さりげない物がいい。」 などの感想が聞かれます。 また、こんな話題もありました。 「施設に入ることになると、仏壇はどうしたらいいか。」 「子供はいないから、自分は何も残したくない。」 「夫婦だけで、それぞれ大切な思い出をしまっておく場所が欲しい。」


各人各様、色々なケースが語られ、雑談の場に提供されました。 今までの慣習に囚われることなく、自由なカタチでこころ安まればいい。 正解はないし、それぞれの立場で一番ふさわしい方法を取ればいい。 時に目頭を熱くさせたり、笑い声が起きたり、 一時間ほどの女性たちの語らいは、うち解けた雰囲気の中で終了しました。