天からの音の調べ・伽耶琴(カヤグム)&玄琴(コムンゴ)

7月最初の日曜日。 妻は娘と「きゃりーぱみゅぱみゅ」のライブを聴きに東京へ。 私は韓国の伝統楽器、伽耶琴(カヤグム)と玄琴(コムンゴ)を聞きに日本平楕円堂へ。


日曜日の雨が、大地を洗い流すように、 カヤグムの調べは、私の心と体の澱みをすっかり流し落としてくれました。 ふじのくに・せかい演劇祭2012の最終日。 「ソウル・オブ・ソウル・ミュージック」   韓国の伝統的な楽器、カヤグム・コムンゴによる独奏&合奏


玄琴(コムンゴ) 形状は日本の琴に似ている。絹糸で紡いだ6本の元を、 スルテという竹の棒で弾いて演奏する。 重く深みのある音色で、昔の両班・ゾンビ(学者)の間で好んで演奏された。 伽耶(カヤグム) 伽耶の国で生まれた伝統的なカヤグムには、風流伽耶琴と散調伽耶琴の二種類がある。 絹糸で紡いだ12本の弦を日本の琴のような爪を使わず、指で弾いて演奏する。 音色は透明感があり繊細で、女性が好んで演奏した。 男性的なコムンゴと女性的なカヤグムの独奏をそれぞれ1曲づつ。 二つの楽器が静かに時に激しく、男女の関係のように絡み合う合奏曲が2曲。 小屋のような楕円堂の薄暗い空間に、二つの弦の音だけが響き合う。 静まった闇夜、両班(ヤンバン)の館に天女が舞い降りてきて 夢うつつの主人に声を掛け、天女がカヤグムを弾き始める。 目が覚めた主人はコングムを持ち出して、それに答える。 弦を押さえる独特な演奏法で音が揺らめき、光と影の表情を描く。 低音と高音の織りなす音の競演がいつまでも続いていく。 そんな、この世の音とは思われない摩訶不思議な弦の響きを聞きながら、 もうずっと昔、李朝家具を求めて韓国に渡り、 その伝統文化にすっかり魅了されてしまった、あの頃のことを思い出しました。


コングム演奏 キム・ソンヒョさん カヤグム演奏 カク・ジョエンさん ともに、ソウル市国楽管弦楽団員の女性奏者。 美しいお二人をカメラに収めて、最高のコンサート体験となりました。