デザインコンペからみる旭川家具の現状と静岡

先日、ユニーバーサルデザイン・工芸研究会の総会の折り、 旭川工芸センター青木繁尚氏による講演がありました。 青木氏は2005年「にっぽんらいふ展@横浜」での知り合い。 懐かしい、ずいぶん立派になってビックリしました。


旭川家具とデザインコンペ」 静岡と並ぶ代表的な家具産地、北海道旭川市。 総人口35万人の内、家具関係の事業所は40社、従業員数は506人、出荷額41億円 原生林に囲まれ木材の豊富な産地から、 優れた木工技術によって素晴らしい家具が生まれています。 その旭川市が1990年より、3年毎に行われているのがデザインコンペ。 年々海外にも知れ渡るようになり、国内外の優れたデザイナーが応募しています。 そのコンペが目指したものと→その成果 ・家具デザイン、制作技術の向上  →技術への関心が高まり、コンペ作品の試作を若者クラフトマンに依頼。 ・国内外のデザイナーとの交流  →近年、中国、韓国のデザイナーの活躍が目覚ましいそうです。 ・生産品種の転換  →従来の花嫁三点家具(箪笥)からリビング、ダイニング向け家具へ。 ・新製品開発による販路開拓  →精密な技術で評価の高いJAPAN家具がデザインの国際化で海外市場へ。 合い言葉は「グローバローカル」 伝統的な産業を大切に育んできた”地方”が、その個性を損なうことなく、 世界という舞台に出ていく事を目指す。 旭川家具のケルン国際家具見本市出展→ドイツデザイナーとのコラボレーション。 以上の話を聞くと、日本のどこの家具産地でも当てはまること。 静岡だって幾つかの試みをしてきた。 ただ、全体の温度差と、まとまり、しつこさが違うだけ。 全国でも、伝統工芸品と言えるモノが集まり、技術の分業化が進んでいる静岡。 日本の優れたものづくり文化を海外にアピールするにはもってこいの産地だと思う。 そんな特別な事をしているわけではない、旭川家具の試みを知るにつけ、 「腰をすえた創作活動を始めるチャンスが足元に見えているのではないか。」 と、深刻な現状とは裏腹に、楽天的にも思えた今回のセミナーでした。