孤高の彫刻家「仏師金丸悦朗遺作展」を見る。

仏師・金丸悦朗氏の遺作展が富士山静岡空港直下、牧之原市石雲院にて開催されてます。 地元の方々や、彫刻ファンでたいへん賑わっているようです。


金丸悦朗氏は昨年秋、惜しくも67歳で逝去されました。 氏は派手な振る舞いを好まず、真摯に仏像と向き合う孤高の人でした。 商業施設(デパート)での展示会は1990年松坂屋1回のみ。 その後はサールナートや石雲院など、地元の寺院での静かな展示会でした。 私と金丸氏の作品との出会いは、松坂屋静岡展での最初の個展の時。 カルラの壮絶な表情と疾走感にドキモを抜かれたことを覚えています。 それから何年かして牧ノ原市の石雲院での展示会に伺いました。 そしてその時、私にも手の届く作品「羅漢像・無」をやっと購入したのです。


何日かして、金丸氏の工房へ作品を頂きに伺いました。 駿河湾が見える自宅の高台にある氏の作業場。 道具や作品を見せながら、仏像や彫刻のことを朴訥と語る金丸氏。 携帯もテレビもない孤独な場で、ひたすら鑿(のみ)を差す氏の姿が浮かび上がりました。 今回の遺作展に展示されたのは、これまで完成させた51点。 仏師として、菩薩・如来明王像も素晴らしい。 しかし、それ以上の彼の傑作は「カルラ(迦楼羅)」八部衆や「邪鬼」の連作、 また五百羅漢のうち、半分ほどを完成した羅漢衆。 今回はこれらの作品も鑑賞することが出来ます。




金丸氏の奥様によると、所有者から借りて展示してある作品もあるとか。 展示会が終われば、見ることが難しくなるのではないでしょうか。 ぜひこの折に、不世出の彫刻家「仏師金丸悦朗遺作展」をご覧になることをお薦めします。 仏師「金丸悦朗」遺作展 2012/10月21日(日)〜28日(日) 10:00〜17:00 牧ノ原市坂口 石雲院(富士山静岡空港直下)