古都の秋の静けさと賑わい・・・11月の奈良。

今回の全国仏壇展視察旅行の宿泊地は奈良。 なぜなら、今開催されている「正倉院展」を見るために。 「正倉院展」は初めてだったけれど、もの凄い数の入場者に圧倒された。


今回の出展品のハイライトは「瑠璃杯」。 その場所だけで30分待たされたが、傍で見る深いブルーの味わいは見事。 その他「螺鈿紫檀琵琶」「木画紫檀双六局」「紫檀小架」など名品ぞろい。 奈良時代ですでにこれだけの美意識があったこと、 そして、そこから生まれる綿密な技術に改めて感動した。 奈良国立博物館の近くに宿泊したおかげで、翌日は早朝ウォーキング。 まだ人気のない奈良公園をカメラ片手にウォッチング。


東大寺南大門」貫がむき出しとなった豪壮な建築。 運慶・快慶のあうんの「金剛力士像」が、門前に立ちはだかる。




門を越え、急な階段を右上がりに上っていくと、「法華堂」「二月堂」に出る。 二月堂からは太陽が昇ったばかりの朝靄の中の奈良の町が展望できる。


回廊を下り、さらに大仏殿の裏手の石畳の小路をおりていく。 「大湯屋」の近くは刈り取った稲束と柿の実、 遠くに大仏殿の屋根を見上げて、まさに奈良の秋、ここに極まれりの感があった。


いつの間にか午前八時。 「戒壇院」の門が開いていて、中で係員が植物に散水しているところ。 私ひとり、天平時代そのままの四天王に対面する。 等身大、写実的な「広目天」「増長天」「持国天」「多聞天」の四体の仏像。 この国宝こそ間近で見たかった。 その後、宿に帰り朝食と帰りの準備をする。 宿を出て妻と再び東大寺に向かう。


新しく出来た「東大寺ミュージアム」にこの寺最高の仏像「不空羂索観音」がある。 日光・月光菩薩を左右に従えて、すくっと立つ姿はまさに極楽浄土。


さて、最後はメインの「大仏殿」へ。 ここだけは大人気で半端でない人の数。


見上げる盧舎那仏は何度も見ているけれど、さすがに並外れたスケールだ。 前から横から後から、堂内を一周して、さらに外に出て改めて納得した。 ウォーキングしている地元の人しかいない早朝の東大寺。 鹿が集まり、観光客と土産物やであふれかえる昼間の東大寺。 そのどちらの姿も体験できて、大満足だった奈良の旅でした。