しあわせな家具
富士市に住む、素適なシニア女性、Yさんのこと。
数年前、吉蔵の松坂屋展示会にいらして、
「あら!この家具うちにあるわよ。」
・・・ということで会話が弾み、
その折お買上いただいた家具を、Yさんのお宅にお届けに行きました。
「え〜?、この家具も、この家具も、この家具も・・・」
数点の家具が我が社製作の物。
けれども、購入した家具店はすべて違った店なんですって。
以来すっかり親しくさせていただき、今では吉蔵の大得意さまです。
そんなこんなで、行き来がはじまり、
先日は、台所におく小振りなデスクのご注文を頂きました。
・一人暮らしのため、台所ですべての用事を済ませることが出来るデスク。
・目立ちすぎずシンプルで、しかも上品でクラシックな感じ。
・テーブルは物が落ちないよう縁を付けて、椅子は軽くスツールで。
・抽出の中にちょっと、薬などおけるすペースが欲しい。
出来上がったスモールデスクは、楢材の柾目基調。
特に奇をてらった所はなく、素直なデザインのやさしいイメージ。
李朝スタイルの小箪笥や八角卓、サランバンチェアや島桑の座鏡など、
今までにYさんに愛用されていた家具の中に、しっくりと収まっていました。
妻や私はYさんのところでお喋りしたり、ご主人の蔵書を見せていただいたり。
静岡へ出掛けられる時はランチをしたり、いっしょに謡いを謡ったり・・・。
Yさんの暮らしのなかで、毎日お役目を果たすことが出来る「しあわせな家具」たち。
そういう家具の製作が、職人魂に磨きをかけ、家具屋冥利に尽きるというものです。