モーツアルト・・ショパン・・バッハ ・いや、ラヴェル
久しぶりにグランシップでクラシック音楽を聴いた。
チョン・ミョンフン指揮/フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団演奏会。
とにかく、最初からラテン人特有のビビットな音が押し寄せてきてビックリした。
バレー組曲「火の鳥」は民族的土俗的なリズムが後の「春の祭典」を彷彿とさせる。
まるで交響曲みたいにスケールの大きい演奏。
「幻想交響曲」はオペラ、サーカスを連想させる5楽章ある大仕掛けな音楽。
終楽章が「ワルプルギスの夜の夢」・・不気味な鐘の響きの連続でゾクゾクさせて、
ヴァイオリンが弓で弦をバチバチ叩く所が見せ物的。
ただ、音楽がストーリーを描写するような所がなんか自分の好みと違う。
そして、本日最高にエキサイトしたのがラヴェルの「ラ・ヴァルス」。
舞踏詩と名付けられたわずか12分くらいの小品・・・なんだけれど、
これがめちゃくちゃ魅力的、いや、この演奏は魔力的だった。
混沌とした渦の中からワルツのリズムが刻まれていく。
しかし、美しく軽快なはずのリズムがそのうち弾けて壊れていく。
するとまた、ワルツのリズムがどこからか流れてくる。
打ち消しても壊しても、また現れる生命体のようなワルツ。
ワルツの再生と変形をくりかえした後、最後は雪崩落ちるように終わる。
第一次世界大戦後のヨーロッパの不安を象徴するように、
優雅にワルツを踊っている時代はもう来ないような、
どこか重く暗く、吹っ切れない音楽になっている。
たぶん当夜の聴衆は、「ラ・ヴァルス」の渦に巻き込まれて、
カラダの芯を抜かれ、恍惚のめまいに襲われてしまったのでは・・・。
事実私は、今でもこの異様なワルツのリズムがカラダから離れない。
ラベル「ラ・ヴァルス」を聞いて、
私の好きな3人目の音楽家は、バッハからラヴェルになってしまいそう。
それほど蠱惑的な、生演奏で聞いたラヴェルの「ラ・ヴァルス」だった。