SPAC芸術総監督、宮城聡さんの素晴らしい挨拶文。

団塊創業塾の集まりで、隣になった若者(私にとっては・・・S君、失礼)に

「ふじのくにせかい演劇祭」のパンフレットをもらった。

それを一枚めくって、最初のページにこんなコトが書いてあった。

宮城聡

<多様性>

1914年に第一次世界大戦が始まって、百年。

このところヨーロッパでは「1914年のヨーロッパの状況と

2014年のアジアの状況は似ている。」と警鐘を鳴らす人が大勢いるようです。

どことどこが似ている、という話はさておき、

気になるのは、1914年のヨーロッパの市民の多くは、

まさか本当に戦争が始まるとは思っていなかった、という証言と、

「経済面で相互に依存していることは、戦争を止める力にはならなかった」

という指摘です。

愚行を繰り返したいと思っている人はどこにもいないでしょうが、

でも「平和を守るために、今ここで戦う必要があるのだ」

「戦争の芽がひろがらないうちに摘み取るのだ」といわれると、

確かにそういうこともあるのかなと思いがちなのが

人間というものかもしれません。

愚行を繰り返さないーそれは可能なのでしょうか?

キーワードは「多様性」と「敬意」だと、僕は考えています。

平和が語られるとき、もし「この世界には多様な価値観がある」

ということを苦々しく思う感覚がともなっていたら、

その平和はにせものだろうとおもいます。

そして、平和に近づくには人々が自信を持たねばなりませんが、

自信を獲得するための王道は「他者から敬意を抱かれている」

と実感することだとおもいます。

相手と異なる価値観を持ちつつ、しかも敬意を抱かれる。

え?そんなこと、ありえる?

あり得ないとも言えない、と思います。

少なくとも芸術においては起こりますよね、この現象。

劇場は、この小さな奇跡を観察できる場所です。

<SPAC芸術総監督・宮城聡>

私が、強み発見テスト(ストレングスファインダー)で

トップの強み資質と診断されたのが、「個別化」。

そこで、そのセミナーの時、インストラクターの人に質問した。

金子みすずの詩に、『みんなちがってみんないい。』

 というコトバがありますが、個別化ってひと言で言うとそういうことですか?」

その人は「そうです。」と答えてくれた。

いみじくも、日本がたいへんな時代に発した、女性のひと言。

それこそ今、私たちがあらためて熟慮しなければならないことなんだ、と、

妙に納得というか、感動してしまった。