東山旧岸邸の華麗なる家系図
安倍首相の集団的自衛権閣議決定が話題になっている昨今、こんな事を思いした。
ちょうど昨年の今頃、家族四人で箱根に一泊の旅行をした時に、
二日目の帰り際、前から寄ってみたかった御殿場の東山旧岸邸を訪れた。
藁葺き屋根の入口の門をくぐり、右に行くと旧岸邸、
左に行けば、有名な和菓子虎屋が経営する喫茶「とらや工房」となっている。
東山旧岸邸は、60年安保の時の首相「岸信介」氏の自邸で、
伝統的な数寄屋にモダンな洋風生活スタイルを取り入れた
建築家・吉田五十八氏の作になる近代数寄屋建築です。
(とらや工房も人気建築家「内藤廣」氏、の素晴らしい建物です。)
大勢の来客に配慮した大テーブルと多くの椅子のあるダイニング。
そこから眺める庭に降りて、下駄で回遊できる日本庭園。
リビングにある岸首相が愛用していたパーソナルチェア。
また、玄関にある低いセンターテーブルの構造が気になったりして、
何枚も写真を撮ってきた。
しかし、この格調高い首相の晩年の隠居住居のなかで、
私がいちばん驚いたというか、興味を引いたのが広間の壁に掛かっていた家系図。
「大久保利通、吉田茂、岸信介、佐藤栄作、鈴木善幸、安倍晋太郎、安倍晋三」
と続く、政治一族のみごとな群像。
庶民とはかけ離れた華麗な一族が、日本の過去現在未来を支配している。
その時、そこに描かれている家系図をまざまざとみて、
何か複雑な思いがして、唸ってしまったことを覚えている。
「国民の平和と安全を守る」というけれど、
「守る」のは、代々選び抜かれたエリートの血統の事なんだ。
と、今は美しい屋敷の事よりも、その家系図の事ばかり気になってしかたがない。
願わくば、戦争で絶えてしまった家系の声なき声が、
少しでも為政者の耳に届いてくれますように・・・。