凄い木工家・土岐千尋氏と出会った。(松本→東京ひとり旅)

松本の朝は冷たい秋雨で始まった。 恒例の宿泊地早朝ウオーキングで行く先は、朝風呂温泉。 1時間くらいの〜んびり過ごして外へ出たら、雲のすき間から朝日がのぞく。 さあ、今日もあちこち行くぞ!と、ホテルのただチャリに乗って出発。

松本には「まるはく」といって、屋根のない「まるごと博物館」として 市全体で多くの旧跡、文化財を保存公開している。 そのパンフを見て特に興味をもったのが、あがたの森にある「旧制高等学校記念館」。

旧制高校明治19年から昭和25年まで全国で41校存在し、 10代後半から20歳前後まで、3年間で帝国大学進学を目指すエリート教育制度。 そのバンカラ気質は、自治とならんで自由な高校生活の特長となった。 旧制松本高校を中心に全国旧制高校から集めた資料は、 「復元寮室」や「校章ボタン」まであって実に楽しかった。


市街に戻ってクラシックホテル「花月」喫茶室で名物ランチをとる。 10食限定、ABC三種洋食ランチはスープ、コーヒーまでついて870円の超お得。

午後は中町でお買い物と思っていたら、「蔵シック館」でこんな催しがあるという。 信州の木工家15人の作品が勢揃いした「木の匠たち展2014」。 指物・クラフト・竹工芸の作家さんの展示を見ていたら、凄い作品に出会った。

土岐千尋  1948年生まれ 茅野市在住 木漆工芸家で黒田辰秋に師事、という経歴以上に衝撃的だった氏の作品。 自在な流線型のオブジェがそこにあるような、木の塊をくり抜いた箱・函・筺。 武蔵美大を卒業、商業デザインで数年働き、その後は黒田門下となり30余年この道一筋。 100年後こんな面白いモノを作る職人がいた、と思われるような物を作りたい。 「美しい物が美しい」お手本のような作品を見ながら、貴重なお話しを伺った。 (土岐氏の個展「土岐千尋氏木漆工芸展」が2014年9月17日から23日まで                横浜高島屋7F美術画廊で開催されるそうです。)

そこだけぽっかり商業シーンが消えた、希有のもの作り人間に出会ってしまう旅の偶然。 買い物やおみやげもそこそに、時間ぎりぎりで飛び乗った「特急あずさ」。 目指すは最後の目的、東京国立劇場文楽公演へ向かった。