多様性と個別化/映画「イミテーション・ゲーム」

アカデミー賞で話題になったイギリス映画

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」のこと。

ギリスの天才数学者アラン・チューリングは、第二次世界大戦時、

ドイツ軍が誇った世界最強の暗号<エグニマ>の暗号解読に挑み、成功した。

彼の功績は戦争終結を2年以上早め、1400万人以上の命を救ったと言われている。

そして彼の生み出したマシーンは現代のコンピューターの元とされる。

人間の頭脳がコンピューター化されていく戦時中の解析ゲームを描いた

この映画を見ていて、ふっとこんなコトを考えた。


映画の主人公は、暗号機械の15京なにがしの膨大なデータを分析して解析する、

機械を発明稼働させ、ある幾つかの法則を組み立てていく。

優れた能力の機械に打ち勝つには、それを越えた頭脳を持つ機械を誕生させること。

天才A.チューリングはそういう能力を持つマシーン(コンピュター)に挑んでいった。

コンピューターの1つの面。

 物事の色々な側面を出来るだけ多く感じ受け取る力・・・「多様性」

コンピューターのもう1つの面

 それら多様な面を一つ一つそれに相応しいタイプに分析分類出来る力・・・「個別化」

受け入れる膨大な頭脳と、組み立てていく冷静沈着な能力を合わせ持つコンピューター。

そしてその後、彼の生み出したマシーンは「多様性」「個別化」「沈着さ」

「良心」「先進性」など、人間の理想的な姿のコンピューターに進化していく。

もしこの映画が、(たとえフィクションでも)その様に話の展望が向いて行ったら、

新しい時代の素晴らしい傑作になっていたと思う。

ただし実際にはこの映画は、彼の友人への恋と性の秘密がもう一つのテーマであり、

彼の数奇な人生と、生きていた時代の不寛容さ(同性愛であることの罪)を描いていた。

それが私には、彼の不幸な生涯を哀れむという、よくある映画の形に思えたため、

残念ながら、それほど面白い映画とは感じられなかった。