ブルーグリーンの世界「青磁のいま」

今、静岡市美術館で開催中の「青磁のいま」展。

かつて中国皇帝が「雨過天青」と呼んで官窯や竜泉窯で盛んに製造された青磁

神秘的な青磁の色には2種類の色があると言われています。

中国南宋時代の青みを帯びたいわゆる「砧青磁」と、

明時代に作られた緑がかった「天竜青磁」。

そのクールな表情と格調の高さに以前から憧れを抱いていて、

今回の展示会を楽しみにしていました。


もちろん国宝級の中国青磁も素晴らしいのですが、

今回はそれ以上に日本の近代現代の作家さん達による

革新的な技術や表現力に圧倒されました。

特に素地と釉薬の熱膨張の差で起こるという「貫入」の美事さ。

チリチリと音を立てながら深まっていったという二重貫入が、

まるでガラスの破片の様に層になって淡い瑠璃色の光を放つ清水卯一氏の大皿。

本来は自然現象として起こる貫入を意図的にコントロールして、

独特の文様を生み出した浦口雅行氏の深鉢。


清々しくも妖しい「青」の世界の中に放り込まれて、

日本人の感性の豊かさ鋭さにすっかり魅せられてしまった数時間でした。

静岡市美術館にて8月16日まで)