他人の痛みがわかるまで/映画「サンドラの週末」
この監督(ダンデンヌ兄弟)の映画はいつもそっけない。
えぇ? それで終わり?と思わせるラスト。
でも弱虫が少〜しだけ自分に自信を持てたときは、
こんなに風に他人の痛みも分わかった行動に出るのだろう。

病気で休職していたサンドラは上司から解雇を言い渡される。
彼女がいなくても充分仕事は進むし、彼女の給料分を他の従業員の
ボーナスに廻すよう社長が手配した。
サンドラは夫と友人の助けを借り、解雇を撤回するよう会社に直談判に行く。
社長の答えはそっけなく、サンドラかボーナスか?
月曜日に16人の従業員にどちらかを選ぶ選挙を行うよう促す。
彼女は諦めかけながらも、自分に入れてくれるよう同僚ひとりひとりと交渉していく。
訪問する家族の有り様はさまざま。
同僚の自分と同じ貧しい生活を知るにつけ、
彼女も強くお願いすることが出来ない。
それでも何人かはボーナスを貰うことよりも彼女の復帰に賛成する。
そして月曜日、選挙の当日になって・・・。
選挙の結果は賛成8、反対8の同数。
社長は彼女に好意的な提案をするが、
彼女はその時になって、身勝手な自分の立場を理解する。
その後、彼女の選んだ方法とは・・・・。
嘆き悲しんだり人のせいにすることより、自分ならどう解決出来るか考えるサンドラ。
どうしても納得出来ないことは正していこうとしていく。
と同時に自分には正しいことでも、他人には違うことに気付くようになる。
小市民が行動することで意識が変わり、自分を変えていく。
結果より、彼女が同僚を巡るさまざまな過程を映画は丹念に描く。
だから、このラストはしごく当然に思える。
(ベルギー映画「サンドラの週末」はシネギャラリーで9月18日(金)まで公開中)