藤森照信建築巡り 番外編(東京計画2107)

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2007年5月、東京オペラシティのギャラリーで開かれた「藤森建築と路上観察

第10回ベネチアビエンナーレ建築展・帰国展」を見に行きました。

相変わらずサービス精神に富んだ、盛り沢山の藤森先生の展示を十分楽しませて頂きましたが、

その中で、それほど大きくない建築模型(東京計画2107)が一番印象に残りました。

100年後、地球温暖化の果て廃墟と化した東京は海面の上昇で水没し、残った陸地は砂漠化が進む。

削減しても残っている二酸化炭素を吸収するには、森とサンゴ群の巨大な光合成が必要だ。

海と陸との狭い間に追われた人類は、あらためて森を育て、田畑を開き、

サンゴ虫から育ったサンゴの石灰で、木造漆喰塗り超高層建築を建て、新しい生き方を始める。

そのストーリーがこの模型に盛り込まれています。

真ん中で折れて沈んだ東京タワーを見たとき、不覚にも涙が落ちそうになりました。

藤森建築は過去と未来をつなぐ大きな歴史観に貫かれていると思います。

ここで描かれた未来予想図は超近代都市ではなく、あらためて縄文時代に戻ったような姿でした。

(写真が撮れないので、著書「藤森照信建築」から画像をお借りしました。)