フランス映画「恋人たち」ルイ・マル監督のDVDを観る

最近観たい映画が見当たらないのでビデオで昔の映画を見る。
フランス映画「恋人たち」ルイ・マル監督
 

世間知らずのブルジョアジーの若奥様(ジャンヌ・モロー)が主人公。
女友達やボーイフレンドと好き勝手に遊び呆ける毎日を過ごしていたある日、
クルマの故障で世話になった通りすがりの若者を家に招き入れる。
夫婦で接待した夜、彼女はひとり月明かりの庭に出る。
そこには若者が寝そべっていた。
夜のとばりが降りる頃、2人は近づき抱擁を始める。
それは経験した事のない満たされた愛だった。
そして翌日、若者と共に夫と家を捨て旅立つのだが、
彼女はあの夜の情事の喜びははもうない事も、
これから不安な人生が待ち構えている事も知っていた。
 
ルイ・マル監督の恋人だったジャンヌ・モローの魅惑的なこと。
ブラームスの「弦楽六重奏曲第1番」の旋律が鳴り響く、
官能的なラブシーンの場面にうっとりしてしまう。
 
1958年にここまで性愛がきっかけの人生の転機を描いた映画はないのでは。
ヌーベルバーグはこうして世界の映画ファンを魅了していった。

歌人、小佐野弾氏の自伝的小説「僕は失くした恋しか歌えない」 読了

歌人、小佐野弾氏の自伝的小説「僕は失くした恋しか歌えない」
読了。
 


大伯父を国際興業グループの小佐野賢治氏にもつハイパーセレブ系の最高級の親ガチャ。
子供の時からボディガードが見守っていたという皇族並みの生活。
小説は主人公が母と兄が持つ会社の株と経営権を奪われて、
それがきっかけで台湾に移住し起業するまでを描いている。
 
子供の頃から悩んだ性のこと、離婚した父に代わって起業家として生きる母との葛藤のこと。
性と母(小佐野家)との間でメチャクチャになっていた青春時代のこと。
物語の間にその時の気持ちを表した短歌を挟み、ナイーブな文章で一気に読ませる。
今様「伊勢物語」とも言える体裁になっている。
 
朝日新聞のコラム「たわわ台湾」や歌集「ホスト万葉集」の編集者として名前は知っていたけれど、この小説を読んで、俄然氏に興味が湧いた。

中島岳志著「思いがけず利他」 読了

中島岳志著「思いがけず利他」
読了。
 

 
横断歩道を渡ろうと待つする小学生。
私は車を止めて渡り終わるのを待つ。
小学生は頭を下げて渡っていく。
段差で転んでしまった私に
「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれる若者。
起き上がって「大丈夫です、ありがとう。」という私。
偶然に出会う人と人との共存。
「思いがけず利他」とはいいタイトル。

清田隆之著「自慢話でも武勇伝でもない『一般男性』の話から見えた生きづらさと男らしさのこと」 読了。

清田隆之著「自慢話でも武勇伝でもない『一般男性』の話から見えた生きづらさと男らしさのこと」
読了。
 


この長たらしいタイトルの本。

「一般男子」でくくられる、「健康で、仕事あり、異性愛者」いわゆるマジョリティ10人の、建前の世界では話さない、家庭事情、性のこと、金銭のこと、裏切られたこと etc・・・
饒舌に語る男たちの告白をまとめた男性ジェンダー論。
 
十人十色と言うけれど、本当に人生さまざまで若い人たちの現実が垣間見えて面白かった。
何よりも、聞き手(著者)のどんな話も受け入れ共感する、優しさと懐の深さが印象的だった。

何と言ってもバーンスタインの音楽/映画「ウエスト・サイド・ストーリー」スティーブン・スピルバーグ監督

旧作のロバート・ワイズ監督「ウエストサイド物語」は中学三年の時に観た。

勉強を教えてもらっていた静大の学生さんが連れて行ってくれた。

自分はその時の印象を覚えていないが、彼が「踊りが素晴らしいね。」と言ったことを覚えている。

 

f:id:kittsan:20220214100454j:plain

 

それから、リバイバルなどでその映画を何度も観て、今ではセリフ、歌詞まで口ずさむ事ができる。

主人公たちの名前や、俳優、作曲家はもちろん振付師や作詞家の名前までスラスラ言える。

 

そのくらい私の青春の金字塔であったミュージカル映画スピルバーグ監督によってリメイクされた。

いつも上映が終わりそうになると観に行く映画が多い中で、この映画は公開三日目に妻と観に行った。

 

f:id:kittsan:20220214100617j:plain

 

オープニングのタタータ・タタタから音楽が静まるラストまで、曲の順番も会話もほとんど一緒。

マリアが言う「デアドール・アントン」(トニー、愛している)ももちろんあった。

だから当然旧作との比較になる。

 

中盤までは俳優のかっこよさや整然としたダンスの上手さで旧作の方が全然いいと思っていたが、終盤の決闘の場面から俄然、ミュージカルというよりドラマチックな要素が強くなり、映画としてよく出来ていると思った。

 

旧作をあまり知らない人はこの映画をどう思うのだろう。

とにかく、音楽が最高。クラシック音楽の要素が多分にあり、少しも古くならない。

さすが巨匠レナード・バーンスタインの音楽だと、彼の偉大さを再認識した。

今年最初に観た映画/日本映画 「偶然と想像」濱口竜介監督

今年最初に観た映画。
日本映画 「偶然と想像」 濱口竜介監督
 

 
確かに人の行動は「偶然」に左右される。
そしてその偶然をもとに「想像」を巡らす人間の面白さ。
言葉の洪水を一言も聞き逃さず映画を観ているうちに見えてくる、
偶然に翻弄される人たちの、嘘のような本当のような姿が生々しい。
この監督、カット割りなんかするのかしらと思えるくらい
場面場面のリアル感が凄い。
正月早々、実に新鮮な映画を観た思いで、爽快な気分になった。
(2022/1/4 静岡シネギャラリーで鑑賞・1/13まで続映)

今年見た映画14本

今年観た映画は14本。

20本が目標だから少ない。

「きみが死んだあとで」「ONODA1万夜越えて」など観たかったけれど見逃した映画もある。

 

燃ゆる女の肖像

あのこは貴族

天国に違いない

すばらしき世界

シカゴ7裁判

ノマランド

街の上で

アメリカンユートピア

いとみち

プロミシング・ヤング・ウーマン

ドライブ・マイ・カー 

由宇子の天秤

007ノー・タイム・トゥ・ダイ

ボストン市庁舎

 

その中で特に気に入った3本は・・・(公開順)

 

f:id:kittsan:20211231114436j:plain

 

日本映画 「あのこは貴族」 岨手由貴子 監督作品

日本的な優雅さと繊細さが映画の基調にある上で、都会に生きる新しい女性達の生き方を爽やかに描いたシスターフッド的映画

私達男性も共感出来る、大好きな映画で二度観た。

 

f:id:kittsan:20211231114523j:plain

 

アメリカ映画 「ノマランド」 クロエ・ジャオ 監督作品

アメリカの伝統のカウボーイやヒッピー的生活を想像させながらも、主人公が女性である事、高齢である事が今の時代を感じさせる。

全てを捨てて彼女はどこへ行くのか?

ラストがとても暗示的だった。

 

f:id:kittsan:20211231114555j:plain

 

日本映画 「ドライブマイカー」 濱口竜介監督作品 

今年最も注目された映画ではないか。

この濱口竜介監督の映画の持つ空気感は「ハッピーアワー」「寝ても覚めても」はじめ、最も自分の好きな映画感覚だと思う。

新春に観たい「偶然と想像」が楽しみ。

 

来年はさらに多くの映画を観なくては。