一斤600円の食パン

先日、馴染みのガソリンスタンドの社長から

ディンケル全粒粉パンという600円の

「すご~い高いパンを買った。」という話を聞いた。

 

パンが好きな私は「どこのパン屋?」と聞いたら

「そこだよ。」と家の近くを指したので興味を持ち、

どんなパンがあるのか出かけて行った。

 

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三畳もない売り場の小さなパン屋さん。

(こういう店最近すごく多い)

11時半開店というのにもう中にお客がいる。

コロナ対策のためか店内は2人までの張り紙。

(こういう店最近すごく多い)

5分ほど待って1人出てきたので入店した。

 

聞きなれないパンの名前と少ないパンの種類。

目的は社長が買った「ディンケル全粒粉パン」だが、

その前に目に入ったのが一斤の食パン。

600円の値札があった。(私が普段買う食パンの2倍)

 

同じ600円なのでどちらにしようか迷ったが、

ラグビーボール型半分サイズでその値段なので

さぞおいしかろうとディンケルの方に決めた。

ついでにプレーンベーグルとクロムッシュも。

 

家に帰って家族で少しづつ分けて試食。

濃茶のディンケルは柔らかいが粘っこく歯につく。

中身も詰まって丁寧だが美味しいとは言えず微妙。

 

もの凄く美味しかったら次は食パンも買うのだが、

素材が高級だけでは食パンに600円出す勇気はない。

あの菓子パンのように甘い「乃が美」の食パンですら

二斤800円なのだから・・・。

〇〇は話が長く時間がかかる。

先日、百貨店にいらしたお客様の住む、

富士宮市まで弊社の厨子を届けに行きました。

私はその方とはまだ売り場で対面しておらず、

電話で会話したのみなのでどんな方か分かりません。

 

さて、お出迎え下さったのは仏壇店の年配の女性。

赤とピンクの中間のルージュのような色のスーツ、

黒のタイトスカート、ヒールの靴と清々しい。

それは社長様で、年配の方という印象より

シャキッとした現役のビジネウウーマンの感じでした。

 

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多くの社員を抱え仕事をしていらっしゃるそうで、

「私、84歳なのよ。」と自分からおっしゃいました。

なんと、私とひと回り上の子(ねずみ)年。

それからと言うものは、仏壇業界の事から家族の事から

お洒落の事から友達の事から次から次へ・・・。

あっという間に時間が過ぎていきました。

 

 女性は話が長くて会談に時間がかかるとどなたかが言いましたが、

私より高齢の方で、こんなに面白く会話をされる方を知りません。

「それで? それで?」とまだまだ聞いていたい話ばかり。

ああ、こういう人こそ良いものを売る事が出来るんだな、と

つくづく感心した次第。

 

私も次の日、伊勢丹にアテンドする時は、親父ブルゾンなんかでなく、

ジャケットにネクタイとせめて若い時に着ていた出で立ちにしよう、

とさっそく実行に移しました。

 

この一曲をとことん語る・・・ラベル作曲舞踏詩「ラ・ヴァルス」

クラシック音楽は高校時代にブラスバンド部へ

入っていた頃から好きだった。

今は妻の影響でもっばら邦楽を聞く機会が多いが、

半年ほど前、facebookで静岡AOIの講堂で行われる

クラシック愛好者サークルを知り、覗いてみた。

 
「この一曲をとことん語る」というタイトルで、

参加者が交代で自分の好きな曲を解説する会。

 ブルックナー交響曲第6番、

 マーラー交響曲第9番

 ムソルグスーの管弦楽組曲展覧会の絵」 etc.

を聞いた後、順番が回って今月は私が発表する。

 

私が取り上げたのは、以前コンサートで聞いて、

ワインを飲んで酔ってしまったようになった

魅惑のワルツ、ラベル作曲舞踏詩「ラ・ヴァルス」。

 

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「渦巻く雲の中から、ワルツを踊る男女がかすかに

 浮かび上がって来よう。雲が次第に晴れ上 がる。

 と、A部において、渦巻く群集で埋め尽くされた

 ダンス会場が現れ、その光景が少し ずつ描かれていく。

 B部のフォルティッシモでシャンデリアの光がさんざめく。

 1855年 ごろのオーストリア宮廷が舞台である。 」

 (ラベルの解説より)

 

一曲12分ほどの小品なので、今回はオーケストラ版、

ロピアノ版、2つのためのピアノ版

の3枚のCDを取り上げて聞いてもらった。

私のクラシック音楽遍歴を紹介をした後、3つのCDを聞く。

 

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まずは、オーケストラ版

ピエール・ブーレーズ指揮 ベルリン・フィルハーモニー

ゆったりしたテンポでワルツの創世期から爛熟した後、

なだれ落ちるように終わるまで、端正な絵画の様な演奏。

 

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 続いて、ソロピアノ版

ユジャ・ワン ピアノ演奏

中国の物凄いテックニックを持つ若手女性ピアニスト。

この超難曲を完璧に弾きって、唖然とさせる。

実力派ピアニストはこの曲を弾きたがるらしい。

 

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 最後は、デュオ、2台のピアノ版

大好きなマルタ・アルゲリッチとネルソン・フレイレの演奏。

急緩自在、天衣無縫なアルゲリッチに懸命に着いてくる

フレイレとのスリリングな演奏。

ワルツは色気がなくっちゃと語っているよう。

 

聞いた後、残り30分で参加者から感想を聞くのだけれど、

この会は音楽関係のプロも多く、専門的な話もどっさり聞けた。

 

それにしても音の美食を堪能した素晴らしいひとときでした。

来月が楽しみです。

 

 

 

 

 

 

2021年 明けましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

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今年の元旦は久し振りに娘と
初日の出を見に行きました。
 
場所は静岡市の南、大浜海岸。
風が強く寒い朝でしたが、
快晴で気持ちがよく、
太陽は遠く伊豆の山から、
雲に邪魔されず登りました。
右手に赤く染まる富士、
後ろは名残の月がバッチリ。
 

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ところで初日の出を拝む習慣は
世界でも珍しいそうですが、
元々「四方拝」という宮中行事
(元日の早朝、天皇陛下
夜明け前に伊勢神宮山陵および
四方の神々に礼拝する)が
明治以降庶民の間に広がり、
形を変えて継承されてきた
という説があるそうです。

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学生の頃よく仲間で行きましたが、
半世紀以上たった今でも
中高校生が多く、
連れ立って拝みに来る光景を
みると微笑ましくなります。
 
クリスマス、寺の除夜の鐘、
初日の出、神社へ初詣等、
やおよろずの神々を祀る日本は
元々多様性のある国と
言えるのかもしれませんね。
 
今年もよろしくお願いします。
 

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今年観た映画・・・コロナ下で21本も

今年はコロナの影響で映画館が閉鎖されたり、

上映予定の映画が延期になったり、

好きな映画もお預けか、と思ったけれど、

例年以上、21本の映画を鑑賞した。

 

日本映画「カツベン」

イギリス映画「家族を想う時」

韓国映画「パラサイト」

アメリカ映画「アイリッシュマン」

アメリカ映画「1917」

日本映画「初恋」

アメリカ映画「名もなき生涯」

日本映画「三島由紀夫と東大全共闘

日本映画「半世界」

日本映画「火口のふたり」

中国映画「在りし日の歌」

ベルギー映画「その手に触れるまで」

フランス映画「グレース・オブ・ゴッド」

日本映画「君はなぜ総理大臣になれないのか」

日本映画「ひろしま

韓国映画「はちどり」

アメリカ映画「TENET」

日本映画「生きちゃった」

チェコ映画「異端の鳥」

韓国映画「詩人の恋」

日本映画「スパイの妻」

 

以下、その中で選びに選んだ3本(公開順)

 

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日本映画「火口のふたり」

身も心も知り尽くした夫婦でもない男女2人だけの映画。

震災を経て火口の崖っぷちにいる不安な日本人を暗示しているよう。

案の定、コロナになってしまった今、黙示録のような映画に思えた。

 

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フランス映画「グレース・オブ・ゴッド」

性的虐待を描いてもセンスのいいフランス映画の味が消えない。

3人の男の物語をオムニバスではなくらせん状に描いて絶妙。

最近少ない気持ちをポジティブにさせるジェンダー映画でもある。

 

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チェコ映画「異端の鳥」

自分への虐待が重なるにつれ生きる為の知恵と力が備わってくる。

野生の中に放り投げられた少年の行為は善悪で判断出来るのだろうか。

このモノクロ映画は人間を救済する張り詰めた1本の蜘蛛の糸のように思えた。

 

Netflix」に入ろうか迷っている。

韓国ドラマ「愛の不時着」を観たいし、

Netflix製作の優れた映画が多々あるという。

劇場で観たいのはやまやまだけれど。

 

 

今年(最後まで)読んだ本

コロナでステイホームと言うこともあってか

結構本を読んだような気がしたので、振り返ってみた。

今年「最後まで読み通した」本。

 

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ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー (プレディ みかこ)

漂流老人ホームレス社会 (森川すいめい)

方丈記 (鴨長明)・・・朗読でも

コンビニ人間 (村田沙耶)

近代日本150年 (山本義隆

自発死 (野間戸ケン)

文章読本 (三島由紀夫

1968年無数の問いの時代 (国立歴史民俗博物館展示会図録)

BLが開く扉 (ジェームス・ウェルカー)

ホスト万葉集 (手塚マキ他)

遅いインターネット (宇野常寛

きみの鳥はうたえる (佐藤泰志

美術展の不都合な真実 (古賀太

縮み志向の日本人 (李御寧

滑走路 (萩原慎一郎)

紋切り型社会 (武田砂鉄)

情報生産者になる (上野千鶴子

 

面白かった本

「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」

コンビニ人間「紋切り型社会」

感銘を受け得た本

「漂流老人ホームレス社会」「近代日本150年」

勉強になった本

文章読本」「縮み志向の日本人」

「情報生産者になる」

 

その他、興味があって買った本で

途中までで積ん読になってしまった本。

業平(高樹のぶ子) FACTFULNESS(ハンス・ロスリング)

美を見極める力(白州信哉) わたしを離さないで(カズオ・イシグロ

他多数。

 

静岡駅前の戸田書店が閉店してしまってとても残念。

あの店の2階はオアシスだった。

その代わり、よく静岡県立中央図書館へ出かけた。

古いけれど、市立図書館と違って静かにゆったり過ごせる。

 

青春18切符で旅する鈍行列車の中で、

本が集中して読めたのも大発見だった。

コンビニ人間」や「君の鳥はうたえる」など

短めの本はぴったり。

 

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年末に作家の平野啓一郎氏オススメの大作、

「男らしさの歴史」I を県立図書館で借りた。

1巻で800ページもある本なので、

正月休みにざっと概略だけでも読もうと思う。

 

 

 

 

今年最高の衝撃作品・チェコ映画「異端の鳥」

 

暗そう難しそう、更に上映時間が長い。

評判の映画だから観たいけれど気が進まない。

観る前はそういうタイプの映画だと思っていた映画「異端の鳥」。

 

結果、この映画は難解でなく、時間が長くも(3時間)感じませんでした。

また、暗闇の中にかすかな明かりが射してくるような映画でした。

 

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「異端の鳥」とは原題で「Painted Bird」といい、

映画の中の一場面に出てきます。

農夫が鳥の羽にペンキを塗り、同じ鳥の群れに放つと

鳥の群れはその鳥を自分たち違うとみなし、次々に突いて殺してしまいます。

 

この映画は第二次世界大戦中のヨーロッパのある国。

ホロコーストから逃れてきた少年が、祖母が死んだため1人になってから後、

様々な村で過酷な体験をしながらも家までたどり着く、

一種のロードムービーの形式になっています。

 

村人たちと違う髪の毛と目の色を持った少年は

全ての所で、「異端の鳥」のように虐待を受けます。

あまりの酷さに途中退出者が続出したとか話題になりました。

 

この映画が描くのは、少年が出会った人達がどんな事をするのか。

人間は異質なモノに対して、どこまで残虐な行為が出来るのか。

怖いもの見たさと、もういい加減にしてくれという勝手な観客は

まるで自分が受けているように追体験していきます。

 と同時に、そういう行為を受けたモノはどういう風にして

自分を守り、生き抜いていくか。

大人だったら自殺という方法を考えるかもしれないけれど、

動物とか子供はそこまで思いつかない。

 

 大人を見習いながら、あるいは大人と戦いながら、

この逆境の中で生き残る知恵と技術を身に付けていきます。

その為に、この少年は言葉を失ってしまうけれど。

いわゆる一種のサバイバル映画のようにも取れます。

 

最後は戦争が終わり、名前も言えなかった少年は父と再会し、

思い出したように自分の名前を窓のガラスになぞります。

単なる異質の生き物として名前さえ知らされていない観客が、

初めてこの少年が普通の人間であることに気付く感動的な場面です。

 

少年が行く先で出会う人の名前が各章のタイトルとなる映画ですが、

最後の章で少年の名前がタイトルになり明かされます。

 

この映画はただ一点、「人間とは何か」を見つめ、

私たちに学ばせ考えさせる、貴重なそして極めて崇高な作品です。

(2020/11/23 静岡シネギャラリーで鑑賞)