職人の町・文化の町/富山県高岡市

7月の最週末、妻と下呂温泉から高岡を訪問しました。 下呂温泉の家具屋さんに納品し、その足で古都飛騨古川を散策。 高岡近郊の庄川温泉に宿泊し、念願の高岡銅器の工房探訪。 猛暑の二日間、そういう順路で、遠く長い車での旅でした。


下呂で、注文家具の納品を済ませて訪れた飛騨古川。 観光シーズンを外れているせいか静かな古都の風情を楽しみました。 用水路の豊かな水に泳ぐ鯉の群れと、古建築が並ぶ商店街。 この街が美しいのは、お年寄りがきれい好きで働き者だからと聞いて納得。


庄川温泉の旅館はバブル期の建物だけれど、従業員さん達の対応は実に丁寧。 料理も、旬の物地元の物を取り合わせ、さりげない思いやりが感じられる。 もちろん、かけながしの温泉は何回入っても飽きないまったりとした湯味でした。


翌日はいよいよ高岡市へ。 まず伺ったのが、デザイナーの関係で取引のある工房「momentam factory ori」高岡銅器の伝統的な発色技術をオリジナルな工法でモダンデザイン化。 銅・真鍮板をベースに孔雀色・純銀色・黒染色・青銅色など、独特の発色と文様。 オーナー折井さんの、発色技術と発想レベルの高さに、共感と羨望を覚えました。


続いて、紹介されたのが今話題の工房「嶋モデリング。 新鋭3D技術と伝統木型技術の両方を持ち合わせ、あらゆるモデリングをこなしていく。 木や金属に置き換える前のモデルをデータ化し、素材の属性の欠点を修正可能とする。 いままで高度な職人の感に頼っていた、面形状のデザインも難なく加工できる。 「伝統は革新を糧に生き延びる」を地で行く嶋さんの工房でした。


最後に訪問したのが、江戸時代から続く老舗「大寺幸八郎商店」。 正直、金物の町・高岡がこんなに文化度の高い処だったとは全然知らなかった。 金属加工発祥の地、金屋町の伝統古建築商家に、地元作家のギャラリーと喫茶を開放。 しかし、それは建物の表向き。 奥座敷に案内されると、この商店が代々築いてきた文化遺産がそのまま生きている。 茶室、廊下、窓、庭・・・。この地の旦那衆の感性の高さが、随所に残っていました。 私は「スゴイ、凄い!」の大連発をして、奥様と9代目の若旦那の失笑をかった様です。 職人の技術の高さと、文化度の高さを兼ね備えた町。 いや、文化度が高いから、職人の技術も洗練されてきた。 そんな「高岡」の矜持を目の当たりに見せつけられた、今回の旅でした。