危機一髪!そして神様登場

先日の日曜日、さいたま市まで婚礼用の家具を配達に行った。

東名高速を経て、首都高速に入ったら大渋滞。

6月1日はちょうど休日集中工事日に当たっていた。

予定より1時間も遅れて、ようやく1車線規制が終わる所へ出て、スピードアップしたら、

どうも車の右側から今まで聞いたことがない音が聞こえる。

何かいや〜な予感がしたが、首都高なので車を寄せる場所もなく、若干スピードを落として走っていると

その内、ダダダダッと堅い音に変わった。

「アッ! パンクだ。」

我が車は段々遅くなり、後ろの車が近づいてくるのがわかる。

「ここで止まったらどうしよう。」

と、思う間もなく、右側にどこの場所か分からないが出口が見えてきた。

「助かった!」

徐々に車を右に寄せ、出口方向へハンドルを切り、脱出した。



パンクした車を小路に入れ、降りてタイヤを見たら、なんと右前輪がボロボロに引きちぎれている。

「困った。JAFに連絡しなくては。」

と、携帯を探していると、後ろから声が聞こえた。

「どうしました?」

バイクに乗った若者が車の方を見つめている。

「タイヤひどいですね。よかったら、僕が直しましょうか。」

オロオロしている妻と私をよそに、何事もなかったような顔でバイクから降りて、

「予備タイヤはありますよね。それとジャッキはどこですか。」

と、車の中からスパナとジャッキを探し出し、ボルトをゆるめてタイヤを交換し始めた。

「モータースに勤めているから、おかしな動きの車はすぐ分かるんですよ。

 前にも軽井沢で同じような車を直したことがありました。」

彼の話によると、タイヤはパンクというより、バーストという現象のようだ。

タイヤが古いとか、空気圧が低いとか、熱とか、色々な原因があるらしいが

事前にはなかなか予測できないらしい。

もう少しの所で事故につながりかねない大事だったが、無事回避出来てホッと胸をなでおろした。

それにしても、何というタイミングの良さ!

彼に少しばかりの御礼を渡そうとしたら、

JAFならタダなんだから、僕はいいです。」

何という謙虚さ! 

「受け取って下さい。そして、また誰かトラブルがあったら助けてあげて下さいね。」

妻はそう言いながら、渡したペットボトルの水とタオルで汚れた手を洗ってもらった。

事故が起きなかったのは、不幸中の幸い。

・・・どころか、彼の手早い処置のおかげで、配達の時間もそれ程遅れずに済んだ。

ひょっとしたら、彼は神様なのでは。

ハハ、若い女性が運転していた車なら、彼はバイクに乗った王子様だろうけれど、

初老の夫婦にとってはやっぱり、何処からともなくあらわれたバイクの神様だったんだ。