8月15日 東京
青春18きっぷが1日分残っていたので、夏休みを利用し、ひとりで東京へ行った。
7時45分の熱海行き普通列車。熱海で乗り換え、東京まで同じく普通列車。
晴れた相模湾がまぶしい。10時57分着。計3時間の旅。
まず、大好きな画家、ルオーの没後50年記念「ルオー大回顧展」を見る。
出光美術館はルオーの世界的なコレクションだそうだ。
今回のハイライトは64点の連作油彩画<受難>。
シュアレスの詩画集「受難」にルオーが版画挿絵を担当し、
あらためて油彩に描き直した作品を、詩文の説明と照らし合わせて展示してある。
キリストの受難がルオーの油彩画と詩で語られていくので、わかりやすい。
ルオーの描くキリストや娼婦、ピエロのまなざしが、いつもながら純真でやさしかった。
有名な、飯田橋「にっぽんの洋食屋津つ井」で昼食。
エビフライと牛タンのデラックスランチ1200円。美味この上なし。
でも、8月22日で閉店とか。こういう昔からの味がなくなるのは残念。
35度の猛暑のなか、野次馬となって終戦記念日の靖国神社をのぞく。
賛否入り交じって拡声器の怒鳴る声があちこちから聞こえる。
沢山のチラシ配りに行く手を阻まれるが、いっさいチラシは受け取らない。
色々な団体がテントをはり、署名や、募金活動を活発に行っている。
軍服姿の行進も見られるが、見せ物的であまり精彩がない。
周りを囲む警護の車の夥しい数で近隣の道路は渋滞している。
そして、何人もの警察官や機動隊員が何度も何度も汗をぬぐっている。
次回は、こういうものものしい姿の時でなく、桜の頃の美しい神社に来たいものだ。
最後は前回行った東京国立博物館の「対決巨匠たちの日本美術」へ再び。
俵屋宗達の「風神雷神図屏風」は8月11日より17日まで、一週間のみの展示。
金曜日(15日)は夜8時までオープンなので、それをゆっくり見たくて来たのだが、
前回(9日)以上の人出。6時過ぎても、30分待ちの行列。
こんな悪条件でも、風神雷神は素晴らしかった。
狩野永徳、長谷川等箔の格調の高さ。
これらがすべて、襖や屏風といったインテリアグッズに描かれているのが日本美術の特徴だ。
再び、巨匠の傑作に出会えて大満足だった。
夜7時19分の沼津行き普通列車に乗る。お盆休みと思えないくらいの列車の混雑。
三島で静岡行き鈍行に乗り換える。こちらもお祭り帰りの若者でにぎやかだった。
そして夜10時29分静岡に着いた。
たぶん、1日だけの勝手気ままな夏休みになるだろう。
青春18きっぷのおかげで、分相応な新しい旅を発見する事が出来たのが何よりだった。
(画像は図録から借用しました。)