ヒース・レジャー賛/映画「ダーク・ナイト」
新しい「バッドマン」シリーズの第二弾。
けれど、タイトルにバッドマンはない。
ダークナイト(dark knight・暗黒の騎士)というバッドマンの愛称のみ。
破滅していく世界を眺めることに唯一の快楽を求めるジョーカー。
彼が悪行を行うのに迷いはなく、いかにして破壊尽くすか、あらゆる策略を巡らす。
それに対して、一人でゴッサム・シティを犯罪から守る影の使者バッドマン。
しかし、あらたにこの町の世直しのために地方検事ハービー・デントが登場する。
行動派で熱血漢のデントはたちまちホワイト・ナイト(光の騎士)として市民の支持を受ける。
バッドマンはデントにジョーカーとの対決を任せ、デントのサポート役にまわるのだが・・・。
ジョーカーはこの2人の正義の男たちを混乱に陥れ、徹底的に痛めつける。
バッドマンは手出しの出来ない状況に置かれ、そのためデントは悲劇的な事件に見舞われる。
そしてすべてを奪われたホワイト・ナイト(デント)は、トゥフェイスとなって悪人に変身していく。
正義、良心、友愛といったものが、絶対悪のまえで翻弄される姿が現代的と言ったらいいだろうか。
勧善懲悪は遠い昔の話。正義は迷い、悪行の後ろを繕っていくしかない。
しかし、その遠い道に光を当てるような市民の判断が、わずかな望みとなって終わる。
ジョーカーを演じて、我々を恐怖に陥れるヒース・レジャーが凄い!
ヒリヒリと神経を逆なでするような声と、ピエロのような不気味なアクションで圧倒する。
「ブロークバックマウンテン」の孤独なカウボーイと打って変わった演技を見るに付け、
亡くなったことが惜しまれてならない。
(画像はパンフレットから借用しました。)