ふたつの世界を肯定的に/映画「サマーウォーズ」
お子様向け大作を作ることに囚われて、つまらなくなった宮崎アニメに代わって、
若者のこころをつかんだ、細田守監督。
前作の青春アニメ「時をかける少女」は忘れられない。
アニメ映画を見下していたオジサンが、何十年かぶりに胸キュ〜ンとなってしまいました。
そしてその、細田守監督が三年ぶりに発表した新作青春アニメ「サマーウォーズ」。
この監督の映画はいいです。絶好調です。
仮装世界(OZ)を楽しむ、数学に強い主人公(小磯健二)。
夏休みをあこがれの先輩(篠原夏希)の実家長野県上田市の旧家で過ごすようになる。
ある時、健二のミスで、OZにハッキングAI(人工知能)が紛れ込み、
現実のライフラインを大混乱に陥れる。
健二は、大家族の陣内家の力を背景に、OZのなかのサイバーテロに戦いを挑む。
OZの世界を描いたアニメーションは、万華鏡のような美しさです。
一方、リアルな田舎の自然描写は、絵画ようにしっとりと、落ち着きを払っています。
ネットのシステムとか、コンピューターゲームには、てんで疎い方なので、
バーチャル世界に起きている異変を、よく理解することは難しいけれど・・・。
つまり、人間の頭脳の行き着く果てが、人間のリアルな肉体を滅ぼしていくと言うこと?
確かにその想定は、現代の社会に起きつつあることかもしれません。
そこで登場するのが、忘れかけていた家族の絆、社会の絆、人間の絆。
未来を守る一番大きな力は、これなんじゃないかと言っています。
最後は予定調和的で、少々物足りないのですが、
細田監督が描きたかったのは、リアル、バーチャルを対立軸としてではなく、
ともに肯定する社会を目指すことのようです。
なるほど、現実の世界と仮想の世界を、それぞれ個性的に描き切って、見事でした。
なお、映画「サマーウォーズ」の公式HPで、その一部(冒頭シーン)を見ることが出来ます。
それを観ただけで、映画館に直行したくなりますよ。
(画像はパンフレットより借用しました。)