本物は残らない

嘗て、静岡の伝統技術であった「指物」。

今、「指物」技術を受け継いだ、腕のいい職人さんに仕事がない。

我が社のような零細企業にも、仕事を探す問い合わせがあった。

このままで行ったら、「指物」は、絶滅危惧種となるのではないだろうか。

先日、和家具の好きなお客様から伝統的な和箪笥注文を頂き、

納めに行った帰りに、お手持ちの古い箪笥の処分を依頼された。

有名な箪笥の産地の、見るからに堂々とした価値ある箪笥のように見受けられた。

もったいないと思いながらも、痛みがひどいので、解体し処分する段になって驚いた。

伝統技術であるべき和箪笥の仕事が、今の工業製品的家具と同じやり方。



つまり、板と板を組むとき、伝統的な仕事では前後にミゾを通して組む、ホソ組みをする。

数カ所に丸い穴を開け、ダボと称する木ぎれをそれに埋め込む

ダボホゾという組み方は、それを簡略したもの。

この箪笥は、すでにダボホゾ組みになっていた。

見えない所では、ミゾを通すホゾ組みの技術は無くなっていた。

伝統工芸の産地ですら、すでにそうなっている。

静岡はまだ後生に残したい大切な技術が残っていたのだが、しかし、それも風前のともしび。

大変厳しい経済状況にある家具業界。

昨今の職人さんの窮乏状況を知るにつけ、

この、世界に誇る木工技術を何とかしなくてはならない。

その危機感をひしひしと感じてた矢先、ポンと膝を叩くような記事に出会った。

「グローバル経済の下、日本の製造業の生き残り策は何か。」

次回、それを紹介させていただきます。