映画の街に日が暮れて・・・

10月最初の日曜日。七間町の静活映画館街。 オリオン座や有楽座、ピカデリーやミラノの前には、 閉館を惜しんで、街の風景をカメラに納める人でいっぱいでした。


私は、もう一度「グランドジャット島の日曜日の午後」の大壁画をズームで撮影。 たしかにタイルを使った点描画。半世紀前の冒険心と、センスと高さに驚きます。


この絵の製作にあたっては、静岡高校の美術の先生、 そして彫刻家でもあった、故大村正夫氏の指導があったそうです。 静高の体育館で草案され、元絵からの作業。 12×19mの壁画、僅か1cm角、80色のタイルが165万個!! あの時代、色の配分をどうやって進めたのでしょう?


さらにもうひとつ、映画館の遺産として有名な壁画が、有楽座のロビーにあります。 ポール・クレーの絵画「オペラ・船乗り」を模写したアクリルで描いた銅板画。 そして、ここにも専門家の多大な協力があったことが、 右下の銅板の、キャプションに刻印されていました。


寄贈   株式会社 勝呂組 原画   ポール・クレー作 資材寄贈    高木豊商店 製作指導 静岡県工業試験場   近江晃・森学・増井久男
駒形にあった(今の地震防災センター)静岡県工業試験場。 その、創生期にあたる技師の方々の、卓越した伝統技術がここに生きているようです。


夕暮れ時の街。そういえば、映画館は年中無休。 日が沈めば、ここでは映画館の色とりどりのネオンが毎日輝いていたはず。 それも、たぶん今日が最後の日。


感慨を込めて、そんな光景を背景に、記念写真を撮っていただきました。 これから、オリオン座で最後の映画、「二十四の瞳」が始まります。