七夕の夜、謡「楊貴妃」を練習する。

梅雨の真っ只中、雲に覆われ天の川は見えないけれど、
せめて鬱陶しい気持ちを晴らす愛の物語をと、
謡の先生が「楊貴妃」を選んでくれました。

 

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 (画像は「としま能の会」昨年7月の公演のポスターです)


 能「楊貴妃
亡くなった楊貴妃の魂の行方を尋ねよという玄宗皇帝の命令を受けた方士が
仙郷・蓬莱山に至ると、そこでひとり過ごす楊貴妃と出会う。
玄宗の言葉を伝えた方士が、貴妃に出会ったという証拠を所望するので、
貴妃は自分の釵を与えるが、それでは確かな証拠にならないと方士は言い、
玄宗と貴妃とが生前に言い交わした秘密の約束を教えてほしいと言う。
貴妃は二人だけの秘密の言葉を教えると、帰ろうとする方士を呼び返し、
かつて宮廷の遊宴で舞った舞を見せようと言う。
貴妃は玄宗との思い出を語り、優雅に舞って見せる。
やがて方士は帰ってゆくので、貴妃はそれを見送ると、
涙に伏し沈むのであった。

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この能のハイライトは七夕の夜、
織姫と彦星に向かって誓う二人だけの愛の言葉。

 
 「天に在らば願わくは 比翼の鳥とならん
 地に在らば願わくは 連理の枝とならん」

 
天に在れば、いつも羽を並べて離れない鳥となろう
地に在れば、いつも枝を連ねて離れない木となろう

 

 今回私は楊貴妃を尋ねるワキ方の方士後半を受け持つことになりました。
玄宗皇帝の嘆きを楊貴妃に伝え、出会えた証拠を皇帝に持って帰りたいと訴える。
そのシテ(楊貴妃)とのやり取りは、絶妙の呼吸が必要とされるそうです。

 
ワキはシテの哀れ、悲しみを浮かび上がらせた後、
さらに舞を披露するシテの美しさを引き立たせる大事な役。

 8月のおさらい会まで、どこまで役作りが出来るか、
今夜のお稽古、頑張らなくては。