七夕を詠んだ歌
七夕なんだから、少しは情緒を感じさせる話がしたいですね。
「七夕にちなんだ、有名な和歌があるけど知っている?」
「ほら、七夕伝説に出てくる鳥がいるでしょう。」
古典に詳しい妻が、聞きました。
「つる? かも?」
とんちんかんな事をいう私に、
「違うよ。ほら、なんとか橋ってあるでしょう。」
「あっ、かささぎか?」
「そう! だから・・・。」
「わかった。言わないで!」
かささぎの 渡せる橋におく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける 「中納言家持『新古今集』より」
七夕の日、牽牛と織姫を逢わせるために、かささぎが翼を連ねて渡したという橋があります。
家持は、宮中のかささぎ橋に降りた霜の白さを見て、七夕を連想しているのか、
かささぎが渡した天の川を見て、その冴え冴えとした星の群を霜の白さと歌ったのか、
二つの解釈があるそうです。
まあ、七夕は秋の季語で、霜が降りるのは明け方だから、
夜もふけたのだなあと感じるのは、冴えた夜空の天の川を見たからなんでしょうね。
小倉百人一首にも載っているこの歌、
昔は七夕を詠んでいるとは知らずに、子供たちとカルタ遊びをしていました。