インテリジェンスの力、きみたちどうなんだ?

毎月楽しみにしている朝日夕刊連載

池澤夏樹氏の「終わりと始まり」


逗子海岸映画祭で「アート・オブ・ラップ」という

アメリカンラッパーたちのドキュメンタリーを池澤氏が観た時の感想。

浜辺で自由にラップ映画を楽しむ雰囲気が

あの有名な「ウッドストック」のようだと言う。

そして、こうした世界中へ浸透していく柔軟なアメリカの若者文化と

独占的攻撃的で、世界を敵にまわすアメリカ政治との対比をしている。

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 そして、「宰相A」(田中慎弥)こと安倍晋三が今回この国を

 安保の鎖で縛り付けたのはこの忌まわしい方のアメリカだった。

 これからやって来るそういう不幸、

 そういう絶望を謡う歌を、

 若い日本は作り出せるか?

 権力の座にある老人どもの恫喝に耐えて歌えるか?

 きみたち、どうなのだ?

  (5/13 憂国のラップー日本の若者は歌えるか)


先日、初めてSPACの二つの演劇を観に行って、ちょっと驚いた。

私たち高齢者より、圧倒的にヤングやミドルエイジが多い。

なんかフェスティバルに参加しているように、カラフルでお洒落な若者達。

対する、SPAC主催者の宮城聡氏の含蓄のあるその時のテーマ(メッセージ)。

昨年は「多様性」、そして今年は「空気を読まない」。

宮城氏の伝えずにはいられない、せっぱ詰まった日本の危機感を、

感度の高い若いSPACファンが、私たち以上に胸に響いて感じているか?

私はこんな素晴らしいインテリジェンスの力を持った人たちが

日本にいることをとても感動しているし、誇りに思っている。

そこで、私も

きみたち、どうなんだ? と、聞いてみたくなった。